日本の2G携帯電話塩田紳二のモバイル基礎講座 第2回(3/3 ページ)

» 2005年03月22日 22時42分 公開
[塩田紳二,ITmedia]
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軍事用技術からできたcdmaOne

 CDMA技術はもともと軍事関係で使われており、民間では利用できなかったものが、その後利用できるようになった技術です。そのため2Gのなかでは、比較的新しく作られたものです(日本でcdmaOneのサービス開始は1998年から。これに対しPDは、1993年にはサービスが開始されています)。というのも高いデジタル処理性能がハードウェアに要求されるため、高性能なマイクロプロセッサなどが利用できるようになってはじめて実現可能になりました。その半面cdmaOneは、長い歴史をもつ2Gの他の技術に比べて性能的な優位性があります。

 たとえばcdmaOneは、複数の電波を受信し、これらを使って、デジタル信号を取り出します。レーク(くまで)受信といいます。端末に対して複数の電波がやってくる様子が根本が一緒になって先が広がった熊手と同じように見えるからです。

 街中などでは、携帯電話の電波は、ビルなどに反射してしまいます。従来の方式ではこれはノイズにしかなりませんでした。テレビ放送に見られるゴースト現象のように、デジタル携帯電話では信号にエラーが発生するなどしてノイズが出たり、音がとぎれたりします。

 しかし、cdmaOneでは、逆にこれを使ってより品質の高い信号を作り出すことができます。これは、CDMA方式では、データと拡散コードが一緒になっているため、拡散コードのパターンを見ることで、時間的なズレを補正することができるからです。

 移動するに従って携帯電話は通信相手となる基地局の切り替えを行います。これをハンドオーバーといいますが、cdmaOneでは、この切り替えがスムースに行われます。複数電波を同時に受信しつつ、同じ周波数帯を多くの端末で同時に利用する方式なので、周波数を切り替える必要がないからです。これに対してPDC方式などのTDMA技術では、隣り合う基地局同士は、違った周波数を利用しています。このため、基地局を切り替えるときに周波数も同時に切り替える必要があります。

 テレビのチャンネルを切り替えた瞬間に一瞬乱れた画像が現れるように周波数の切り替えを行ったときに携帯電話には、ノイズが入ってしまいます。cdmaOneでは、周波数切り替えを行わないため、こうしたノイズが入ることはありません。これをソフトハンドオーバーといいます。

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