企業向けモバイルアクセスに求められるものは──ボーダフォン (2/2 ページ)

» 2005年05月18日 22時48分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
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よりセキュリティを高めるために

 モバイルアクセスを行う場合、「どのように本人認証をするか」という点も重要だ。ボーダフォンの場合は、以下の情報をRadiusサーバーに送り、本人認証を行う。

名前 詳細
APN(Access Point Name) 1企業に1つ
ID 1人1つ
パスワード 1人1つ
ダイヤルアップ用電話番号 *99#など。ボーダフォン共通
契約者の電話番号 090-1234-5678など11桁。1人1つ

 契約者の電話番号を本人認証に利用するかどうかは、ユーザー側で選べるようになっている。オプションサービスだが、ボーダフォンでは無料で利用できるようにしている。

 「セキュリティを高めてほしいという声は大変多いので、いろいろ機能を付けて提供しています。例えば、APNやRASの電話番号を固定するなどです。また、データカードにファームアップを行うことで、登録されたところにしかアクセスできないようにする、というサービスも有料で行っています」(春名氏)

 個人情報保護法などの施行により、企業はセキュリティを守ることに敏感になっている。現在存在する接続方法ではセキュリティへの配慮が不十分、という認識で、モバイルアクセスを許さない企業も多いのではないだろうか。「不十分という声はあります。ノートPCとデータカード、SIMの3つをセットにしてセキュリティを確保する方法がまだないので、ノートPCを社員に配布しない、という企業も多いです。ただ、今後新しいセキュリティソリューションが登場すれば、こういった企業も加わって、市場が広がるだろうと期待しているのです」(春名氏)

 現在、法人市場におけるボーダフォンのデータカードのシェアは高くない。今後の課題として、どんな取り組みを考えているかを聞いた。「データカードで企業直収に対応したのは今回が初めてなので、まずは、接続できる事業者を増やすことが第1の課題。また、新しいセキュリティソリューションを考え、確立していくことだと考えています。また、データカードそのものの高速化も必要でしょう」(春名氏)

 “セキュリティ+モバイルアクセス”を意識した法人向けデータカード市場はまだまだ立ち上がったばかりだ。イントラネットへのモバイルアクセスを考える場合、ホットスポットやADSLなどからアクセスしたいというニーズは大きい。また、金融系の企業や外資系メーカーといった顧客の場合には、海外からVPNを介したローミング接続といったニーズもあるだろう。こういった、自社のネットワークの外からのアクセスにどのように対応していくかは、ボーダフォンだけでなく、携帯キャリア各社の課題となりそうだ。

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