ITmedia 少し上位のアプリケーションに目を向けますと、今年は地デジ1セグの開始が予定されており、最近では「通信と放送の融合」が話題になっています。この分野ではクアルコムはMediaFLOという取り組みを発表していますが(2月9日の記事参照)、その現状や戦略といったものをお聞かせいただけますか。
山田 MediaFLOはサービスを実現する周波数がないと実現できません。MediaFLOは携帯電話というモバイル環境に特化した放送技術であるわけですが、これがどうすれば日本でスタートできるか。周波数の獲得も含めて、それを検討している段階です。
ITmedia ポイントは携帯電話に特化した技術、周波数を使うという点でしょうか。地デジ1セグは固定テレビ向け放送の枠組みの中で、付加価値的にモバイル向けもやりますので、周波数幅も小さいですし、サービスの柔軟性も高いとはいえない。
山田 (MediaFLOは)技術的・サービス的には地デジ1セグ放送に比べて優位性があると考えています。その点を(放送・通信)業界の方々や政府筋に正当に評価していただきたいと思っています。
ITmedia MediaFLOの通信業界、放送業界それぞれのメリットはどういったものになるのでしょうか。
山田 通信キャリアのメリットは明らかです。MediaFLOではリアルタイム放送と蓄積型放送(クリップキャスト)、通信を使ったダウンロード型サービスが一体となっていますので、放送というニーズの高いエレメントに対して、通信側から付加価値がつけられます。
一方、放送業界に対してはリアルタイムチャンネルをそれぞれ持っていただくことを考えています。現在のMediaFLOの計画ではリアルタイム15チャンネルを用意できますので、既存の地上波放送局にもご参加いただき、地上デジタル放送の再送信をしていただく。地デジ1セグとMediaFLOの両方でサイマルキャストが実現すれば、MediaFLOのモバイル放送向けの技術優位性を地デジ1セグの補完としてお使いいただけます。
ITmedia MediaFLOの想定するリアルタイム放送15チャンネルは独自チャンネル編成ではなく、既存放送局の再送信利用+α的な位置づけなのですね。コンテンツ面での地デジ1セグとの差別化はどのように行うのでしょうか。
山田 大きな要素としてクリップキャストがあります。これはKDDIが提供している「EZチャンネル」を発展させたようなイメージで、プッシュ配信されるコンテンツを端末に蓄積。ユーザーは任意のタイミングでコンテンツを見られます。携帯電話ですと、どうしても電波の届かない場所というものもあるものですから、クリップキャストは本質的にモバイルと相性のいい放送の仕組みです。
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