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» 2005年08月09日 08時56分 公開

ケータイも五感に訴える素材が重要になる神尾寿の時事日想

単なる通信機器の域を超え、“その人らしさ”を示す小道具としての側面を持ち始めている携帯電話。今後のコンシューマー向け携帯電話を考えるとき、手に持った時の感触などの演出も必要になってくるのではないだろうか。

[神尾寿,ITmedia]

 NTTドコモの「DOLCE」開発のインタビュー記事が掲載されている(8月8日の記事参照)。詳しくは本誌記事に譲るが、シャープが“大人ケータイ”を実現する上でこだわった人工皮革、すなわち「素材」は今後のコンシューマー向け携帯電話の開発において重要なポイントだ。

 周知の通り、携帯電話は単なる情報機器ではなく、今やライフスタイルツールにもなってきている。クルマがそうであるように、ユーザーの趣味や嗜好、人生に対するスタンスを表現するアイテムという意味を持ち始めているのだ。その中で、“ハイテク”以外の切り口が求められており、それを演出をする要素として「手触り」や「風合い」を表現する素材の重要性は増している。

 しかし、それは高級な素材をやみくもに使えばいい、というほど単純なものではない。DOLCE開発の背景にも書かれているが、本物の高級素材の中には耐久性に問題があったり、日々のメンテナンスが必要など、現状の携帯電話の利用シーンでは使いづらいものも多くある。携帯電話の中に「高級ブランド」のセグメントができて非日常化すれば別だが、現時点ではDOLCEの人工皮革選択は正しい。「高級感があり、本物以上に使いやすいフェイク」は、今後の携帯電話向け素材としてニーズが高まるだろう。

 また、これは私見であるが、今後は「見た目」や「質感」以外にも、携帯電話の素材に求められる要素は増えると考えている。

 例えば「香り」だ。これは有名な話であるが、イタリア車のアルファロメオには車内にこっそりと専用の香水を染みこませたシートがセットされている。筆者も仕事で初めてアルファロメオを借りた時に知らずに驚いたのだが、説明されれば心憎い「おしゃれの演出」である。新車でアルファロメオを購入したオーナーや、初めて乗せてもらった人は、こういうささやかな部分に感動するだろう。携帯電話は日常的に顔に近づけるモノだけに、「香りにこだわる」アプローチもアリだと思うのだが。

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