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» 2005年08月26日 03時57分 公開

OFDMとは何か?2 塩田紳二のモバイル基礎講座 第8回: (3/4 ページ)

[塩田紳二,ITmedia]

OFDMの変調・復調

 下の図は、OFDMの変調・復調の大まかなブロックダイアグラムです。これは、広く情報が公開されている802.11a無線LANのものをベースに作った図です。実際には、インターリーブなど他にも処理が入るのですが、ここではOFDMの概念を説明するために省略してあります。

OFDMの変調は、ガードインターバルの挿入までデジタル信号のまま行われ、最後にD/Aコンバーターを使いアナログ信号にしたあと、送信周波数での変調を行う

 無線LANでは、サブキャリアの数やサブキャリア変調方式が定められていて、同時に送信するビット数はそれから決まります。IEEE 802.11aでは、サブキャリアは52本ありますが、このうち4本は、パイロット信号としてデータを送信しないので、48本がデータ送信用になります。サブキャリアは、312.5kHz間隔になっています。つまり、312.5、625、937.5……kHzという周波数が使われていくわけです。

 また、OFDMシンボル長は、4μ秒とされています。サブキャリアの変調方式にはBPSK、QPSK、16QAM、64QAMがあります(参照記事12)。

 64QAMでは、同時に6ビットを送信できますが、エラー訂正用コードなどが入るので、実際に送信できるのはその3/4(これを符号化率といいます)になり、48サブキャリアで同時に送信するため、1つのOFDMシンボルで216ビットが送信されます。1OFDMシンボルは、4μ秒であるため、転送レートは、216[ビット]/4[μSec]=54Mビット/secとなります。

 ベースバンド信号(送信するデジタルデータ)は、シリアルデータとしてOFDM変調部に入力されたのち、パラレル化されます。OFDMでは、同時に複数ビットを送信しますが、一度に送信するビット(つまり1シンボル分)をひとまとめにするのがこの部分です。例えば、16QAMを使う場合、48×4=192ビットがひとまとめになります。

 次に行われるのがサブキャリア変調です。このときは、例えば、16QAMなら4ビット、64QAMなら6ビットごとに取り出されて、変調が行われます。ただし、この変調処理はデジタル的に行われます。例えば、QPSKでは、位相上の4つの点を使います。各点には、00、01、11、10の2つのビットが相当しています。サブキャリア変調では、このデジタル値から位相を求めます。ただし位相は角度ではなく、座標を使って複素数で表します(図)。

一度に2ビットを送信できるQPSKでは、4つの位相を利用する。このときのビット配置には、グレイコードが使われる。OFDMでは、デジタル信号のままQPSKを行い、ビットパターンを位相を表す値に変換して出力する

 このようにすることで48個の信号が出来上がります。今度は、これを前述のサブキャリア周波数別の信号として逆フーリエ変換が行われます。逆フーリエ変換とは、各周波数別の信号の大きさを元に、合成された歪み波を作ることです(8月24日の記事参照)

 OFDMでは、図の個々の正弦波がサブキャリアに相当し、OFDM信号が図の方形波に相当します。サブキャリア変調で得られた座標値を使って、個々のサブキャリアを表す正弦波を合成しますが、実際には、逆FFT(Fast Furie Translation :高速フーリエ変換)と呼ばれる計算方法が使われます。その後、できあがったOFDMシンボル信号にガードインターバル信号を挿入します。

 ここまではデジタルデータとして処理され、これをD/A(Digital Analog)コンバータを使ってアナログ信号に直します。これをベースバンド信号として送信キャリア信号(802.11aでは5GHz帯)を変調させ、送信信号とします。

 復調の手順は、この逆になります。受信した電波を検波し、OFDM信号を取り出します。これをA/Dコンバーターを使ってデジタル信号に直します。最初に行うのは、ガードバンド信号部分を無視し、残りの部分を取り出すことです。このようにすることで、マルチパスの影響を排除します。

 その信号を今度は、FFTでフーリエ変換し、各サブキャリアに分解します。その後、サブキャリア復調を行います。変調時と同じく、これもデジタル的な処理で、FFTの出力を位相の値と考え、対応するビットパターンを見つけます。これを送信時と同じ順番でシリアル信号に直せば、元のデータを取り出すことができます。

位相変調とグレイコード

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