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» 2005年12月21日 12時34分 公開

特集:FeliCa携帯、本格始動:am/pmに聞く、「コンビニ+電子マネー」先行導入の効果(後編)

コンビニ業界の中でも先行して電子マネーを導入したam/pmは、様々な試みにチャレンジしている。ANAマイレージクラブとの提携や、iDへの対応、トルカへの取り組みなどについて聞いていく。

[神尾寿,ITmedia]

 電子マネー「Edy」をいち早く導入し、おサイフケータイの最初期参入企業でもあるam/pm。前編に続き、am/pmジャパン戦略企画本部営業戦略部の大熊義久氏に「コンビニ+電子マネー」先行導入の結果について聞く。

am/pmジャパン戦略企画本部営業戦略部の大熊義久氏

Edyが繋ぐ「顧客の輪」

 Edy導入後、具体的にどのような“効果”があったのか。大熊氏が具体例として挙げるのが、新規顧客グループの獲得だ。

 「顕著な例としては、ANA(マイレージクラブ)のお客様が増えています。『陸マイラー(おかマイラー)』という言葉がありますが、コンビニで毎日利用していただければ、けっこうなEdyマイルが貯まります。ANAの優良顧客の皆様にam/pmを利用してもらい、am/pmの優良顧客にANAに乗っていただく。こういった(優良顧客の)サイクルができています」(大熊氏)

 現在、am/pmでは月間130万件ほどのEdy利用があり、そのうち70%がカード型の利用である。このうちANAカードが占める割合は4割であり、その率はam/pmが発行しているハウスカードの2割を超え、最も高いだという。

 「ANAのお客様を取り込めた効果として、利用者プロファイルの変化があります。これまでEdy利用者は20代後半〜30代のお客様が多かったのですが、(ANAカードの利用では)新たに20代〜30代の女性が伸びている」(大熊氏)

 一方、おサイフケータイが全体のEdy決済に占める比率は30%。しかし「伸び率はカード型よりも高い状況」(大熊氏)だ。

店舗運営への効果はどこまででているか

 前編でも登場したが、am/pmがEdyを導入した背景には、より密度の高いマーケティングと店舗運営を行うという目的がある。現時点で、その効果はどの程度現れているのだろうか。

 「店舗あたりのEdy利用率がまだまだ低いですから、全体を見渡すには情報量が足りないと考えています。しかし、(その時々の)売れ行きがいい商品だけでなく、1人のお客様に選ばれ続ける『リピート率の高い商品』を見つけることなどができますので、そういった情報は品揃えや運営施策に一部生かしています」(大熊氏)

 大熊氏が1つの目標としてあげる「平均利用率10%」になれば、全体に占めるユーザー比率も高くなり、より積極的にCRMの情報が利用できるようになってくるという。

先行者利益はいつまで続くか

 2005年、コンビニエンスストア業界では「電子マネー採用」の話題が相次いだ。春のサークルK/サンクスのEdy採用を筆頭に、年後半にはローソンの一部店舗やスリーエフでのSuica採用(12月7日の記事参照)、セブン&アイの独自電子マネー発表など(11月29日の記事参照)、「コンビニで電子マネー」は定着しそうである。これは先行者であるam/pmが当初の目的とした「他チェーンとの差別化」という要因を失わせることになりはしないだろうか。

 「我々は電子マネーを最初からやっている。これは(接客や店舗運営において)一日の長になっていますので、お客様にスマートに電子マネーをお使いいただける。これは依然として差別化ポイントだと考えます。また、ANAに株主になっていただいている事もありまして、いまANAとダブルマイルキャンペーンを行っていますが、こういった形でのコラボレーションもやりやすい」(大熊氏)

 また、ブランドイメージの点でも、「am/pmならばEdyが使える。そういったイメージが根付いており、ブランド力を醸成する一要素にもなっている」(大熊氏)という。

iDとの棲み分けは可能? トルカの利用は?

 おサイフケータイ分野での課題としては、まずはam/pmのポイントアプリ「club ap」のauとボーダフォンへの展開があるが、“ドコモ以外のおサイフケータイ対応”について、am/pmはやや消極的だ。「ドコモ以外のおサイフケータイは対応機種も少なく、今のところ様子見の段階。(キャリアごとに)アプリの仕様が細かく違うなど、対応に手間がかかるのが課題です。現在はサイト会員としてポイントを貯めるといったところまではできていますが、アプリとしてゲーム参加などができないのはユーザーの皆様には申し訳なく思っています」(大熊氏)。

 トクトクポケットのスキームを使うサークルK/サンクスのポイントプログラムは、ドコモ以外のおサイフケータイ対応も実現しているが(2月17日の記事参照)、am/pmのように独自展開する企業では、追加のソフトウェア開発コストを伴う複数キャリア対応に対しては慎重にならざるを得ないようだ。

 一方、ドコモが行うおサイフケータイの新サービスについては、am/pmは前向きに採用する姿勢で臨んでいる。しかし、導入に関しては試行錯誤の部分もあるという。

 「(ドコモと三井住友FGの)iD(12月1日の記事参照)に関しては初期参加メンバーに入っており、現在、準備をしています。ただ、クレジットサービスの利用は基本的に『高額決済』なんですね。我々のように1回の決済単価が400〜500円という世界で、どれだけ使われるかについては不分明なところはあります。個人的には、(400〜500円の決済なら)Edyの方がいいかなあ、と思っています」(大熊氏)

 iDではクレジットサービスの利用ボリュームを数千円の価格帯まで下げるという狙いがあるが、「コンビニのビジネスだと1000円〜2000円でも、1人分のランチとしては高すぎる価格帯。電子マネーとの棲み分けがどうなるかは、今後を見守っていかなければならない」(大熊氏)

 iDに並ぶドコモの新サービスとしては「トルカ」があり、こちらもam/pmでは採用を検討している。

 「トルカも採用表明はしましたが、実際にどう使うかは頭を悩ませているところです。クーポンや広告の表示といっても、コンビニのように日常的に訪れる場所だと、毎回ではわずらわしい。902i以降の新しいサービスなので、今後、活用を考えていきたい。三者間通信を使ったサービスはいろいろ出来そうなので、新たなサービスを考えていきたいです」(大熊氏)

 決済とポイント蓄積でサービスが固定化しているカード型と異なり、おサイフケータイ分野では日進月歩で新機能や新サービスが生まれてくる。am/pmのような先行導入組は、初期のメリットを手にしつつも、今後の新機能対応に追われているようだ。

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