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» 2006年02月13日 11時19分 公開

おサイフケータイクレジット、普及の鍵は「提携カード」 神尾寿の時事日想:

現在3つの方式が並び立っている“おサイフケータイクレジット”サービス。現在はまだ、カード会社が発行するプロパーカードでしか利用できないものがほとんどだが、提携カードでも少しずつ、対応するものが出始めている。

[神尾寿,ITmedia]

 2月10日、ジェーシービーとファンケルが、QUICPay機能を搭載した初の提携カード「ファンケルプレミアムカード」を発行することを発表。10日から会員募集を開始した(2月10日の記事参照)

 一方、三井住友カードは1月5日に紀伊國屋書店と、1月31日に弐萬圓堂と提携し、同社の提供するおサイフケータイ向けサービス「三井住友カードiD」を利用できるカードに、「紀伊國屋三井住友VISAカード」と「弐萬圓堂VISAカード」を追加している(2月6日の記事参照)

 本コラムでも何度か触れたとおり、今年はおサイフケータイを軸に非接触IC型クレジットサービスが大きく動き出す。この分野で先行したJCB、UFJニコス、そして三井住友カードとドコモのiDの競争が本格化。さらに国際ブランドの大手ビザ・インターナショナルも、「日本市場のデファクトスタンダード(となる非接触IC技術)はFeliCa。おサイフケータイを視野に市場参入する方向で検討している」(ビザ・インターナショナル・アジアパシフィック・リミテッドエグゼクティブバイスプレジデントのフィリップ・イェン氏)と話す。

少額決済市場を狙う上で重要な提携カード

 これらのプレーヤーが狙うのは少額決済市場だ。先日のNTTドコモマルチメディアサービス部長の夏野剛氏へのインタビューでも語られたとおり(1月11日の記事参照)、日本のクレジットカード利用率は海外に比べて低く、特に少額決済分野の潜在市場は大きい。ここをおサイフケータイの「かざすだけ」という利便性と、FeliCaと通信機能を組み合わせたセキュリティ機能の高さで掘り起こそうとしている。

 この取り組みの中で、まず注目されているのが「加盟店の獲得」である。現時点でおサイフケータイのクレジットサービスはリーダーライターの相互利用ができず、JCBの「QUICPay」、三井住友カード/NTTドコモの「iD」、UFJニコスの「スマートプラス」それぞれが個別に加盟店のFeliCa対応を推し進めている。例えば、JCBと三井住友カードは、それぞれ「2008年までに10万店の対応」を表明している。

 そして、加盟店獲得に並んで重要なポイントになるのが、提携カードの取り込みである。これまで、おサイフケータイ向けのクレジットサービスはプロパーカードが中心であり、小売店が優良顧客の囲い込みを行う提携カードの対応は遅れていた。しかし、少額決済市場はこれら小売店が「場所」を持っており、少額に軸足をおけば消費者の利用も提携カードが中心になる。例えば、これは卑近であるが、筆者が使うメインカードは(仕事柄もあるが)「ANAカード」と「JOMOカード」であり、どちらもイシュアのプロパーカードではないので現時点でおサイフケータイに対応していない。

 銀行系を中心にプロパーカードのステータスは高く、白状すれば筆者も“格好を付ける”ためのプロパーカードを1枚もっている。しかし、日常利用ではマイルやお得ポイントの魅力が優先されるのが実情だ。特に少額決済では、小売店と消費者の日常的な結びつきが利用の動機付けになる。提携カードの重要性は高いと言えるだろう。

 今後、おサイフケータイ分野のクレジットサービスとして、どのプレーヤーが有利になるか。その趨勢を判断する上で、加盟店獲得状況とともに、それぞれのサービスに対応する提携カードの質と量も見逃せないポイントになる。

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