米Microsoftは2月12日、バルセロナで開催中の3GSM World Congress 2006(特集ページ)で、携帯電話キャリアおよび携帯電話メーカーとの提携を発表した(2月13日の記事参照)。3GSM World Congress 2006では、Direct Push技術を搭載した新しいWindows Mobile端末として、Hewlett-Packardの「HP iPAQ hw6900 Mobile Messenger」、GIGABYTEの「Gigabyte Communications g-Smart」、ASUSの3Gスマートフォン「ASUS P305」、Fujitsu Siemensの「FS Pocket Loox」などの新端末が披露されたという。また、同社はVodafoneと共同で、業向けモバイル電子メールサービス「Windows Mobile Email from Vodafone」なども発表している。
時を同じくして、調査会社Diffusion Group(TDG)のレポートでも携帯電話分野におけるMicrosoftの伸長が報告された(2月11日の記事参照)。この報告書によると、欧米におけるスマートフォン市場の伸びと連動するようにWindows MobileとLinuxのシェアが拡大。携帯電話向けOSとして発展したSymbian OSのシェアをじわりと浸食しつつあるという。TDGは2010年末までに先端のモバイルデバイスに占めるSymbianのシェアは約22%に落ち込み、Windowsの29%、Linuxの26%に抜かれるという見通しを立てている。
本コラムでも何度か触れてきたが、昨年後半から今年にかけて、PC企業やネット企業の「携帯電話分野への進出」が本格化し始めている。特にMicrosoft、Yahoo!、Googleなど米国企業の動きは、PCインターネットの歴史を早回しして携帯電話業界を飲み込もうとしている。その点が、これまでのNokiaなど欧州の携帯電話系ベンダーと異なる。いわば、第2のPCとして携帯電話の進化を捉える米国型モデルと言えるだろう。海外のスマートフォン市場は伸び盛りだが、欧州型モデルと米国型モデルで、各プレーヤーのビジネスモデルも含めて傾向の違いが見えてきたのは興味深いポイントだ。今後、市場性にも違いが生まれてきそうである。
一方、日本はコンシューマー市場で、電話機型の発展として携帯電話の端末とサービスが特異的に進化した珍しい市場といえる。日本市場のモデルは、部分的には海外市場でも応用できるだろうが、全体で見ればレアケースだ。それが良いか悪いかは別として、鎖国の中での発展をしてきた一面は否めないだろう。
今後、日本の携帯電話業界がどのように海外市場の動きやビジネスモデルと相対していくか。日本型モデルの良さを残しつつ、グローバル市場で生き残り、さらに勝っていくための戦略が、日本の携帯電話産業にも今後必要である。
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