2月26日、東京・原宿のKDDIデザインスタジオで、KDDIと慶應義塾大学武山研究会との2005年度産学共同研究の最終報告会が行われた。
……と書くと固いが、要するに「大学生の皆さんは携帯をどんな風に使ったら面白いと思うか、KDDIが携帯電話を貸し出すから、新しいサービスを考えて発表してみてください」というコンセプトの会だ。KDDIと慶應義塾大学経済学部の武山研究会が2年前から実施しており、今回が3回目。産学共同研究の結果を直接利用した商品はまだ出てきていないが、ここでの発表内容については、KDDI社内でも企画の参考にしているという。
イマドキの慶大生は、携帯でどんなことができたら楽しいと考えているのか? まずはその発表内容を見ていこう。
個人的に一番面白いと思ったのが「街中で位置情報を使った新規サービスの可能性」という発表。大学生が外に(街に)出かけているとき、どんな情報を知りたい、携帯で集めたいと考えているか? それに応えるサービスは存在するか? という研究である。
街の中で欲しい情報、として挙がっていたのは以下のような情報だった。つまり、こんな情報を“すべて”入手できるようなサービスなら使ってみたい、ということだ。
種類 | 知りたい情報 | 詳細、情報が必要となるシチュエーション |
---|---|---|
A | 周辺情報(位置) | auショップに行きたい、近くの銀行でお金をおろしたい |
A' | 周辺情報(店舗情報) | 美味しい料理を食べたい、マイナーなモノを売っている店に行きたい |
B | 近くにいる暇な友達 | 暇なすき間時間に、いっしょに食事をしたい、遊びたい |
C | ある場所での体験を共有 | 旅で見た風景やオススメのお店の情報などを人に知らせたい |
Aは行き先が決まっており、そこを検索すれば探せるものだ。例えばEZナビウォークの「目的地検索」を使って、「今自分のいる場所に近いxx」というように目的の場所を探せばたどり着ける。
A'に近いサービスを提供しているのが、「NAVIBLOG」だ。携帯から位置情報を登録、情報発信できるBLOGサービスで、ある地点に登録された他の人のオススメ情報などを検索できる。しかし問題なのは、携帯からしか利用できず、PCからアクセスできないこと。またSNSではないので、友達の情報も見知らぬ人の情報も全て表示される。
Bに近いサービスとして挙がっていたのが「Team Factory」と「Activo.jp」。前者は友達に自分の位置や状況を教えられるサービスだが、UIが今一歩、状況を教えるのに能動的に文字入力しなくてはならない、といったところが面倒だという。また後者はGPSと連動した携帯用のSNSで、自分がいる位置を手動で登録し、近くにいる友達やオススメのお店を検索できるが、PCからの閲覧ができないという制限がある。
そしてCに近いサービスが「ここまる」と「DUOGATE」だ。ここまるは位置情報と地図をベースにしたSNSで、ユーザークチコミ情報を地図に投稿していき、地図を成長させようというコンセプトのサイトだ。ここまるの最大の弱点は「携帯で使えないこと」だという。
auが提供する「DUOGATE」は、携帯とPC両方からアクセスでき、ビジュアル情報も格好いいが、UIが格好いいが使いにくいこと、1つの写真にすべての投稿をプロットするため、投稿が集中すると見づらいこと、ブログ、アルバム、スナップの各機能が連携するのはいいが、実際にはそれぞれのサービスがシームレスにつながっていない点が問題だとした。
既存のシステムはそれぞれに良さがあるが、しかし連携していない点が問題。携帯だけしか、あるいはPCだけしか使えないサービスでは使い勝手や得られる情報量がイマイチだ、という分析は、確かに共感できるものがある。
AからCまで、すべてのニーズを満たしてくれる新サービスはないか――彼らの考えるその姿は、mixiをベースにここまる的な地図+投稿情報表示機能を組み合わせ、その上にYahoo!MessengerやMSNメッセンジャーを実装したようなシステムだった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング