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» 2006年03月08日 03時12分 公開

QUICPayで儲けようとは思っていない――JCBの戦略(後編)Interview: (3/4 ページ)

[神尾寿,ITmedia]

モバイル決済推進協議会の狙いと課題

 現在、おサイフケータイ向けクレジット決済サービスはJCBの「QUICPay」、ドコモ=三井住友カードの「iD」、UFJニコスの「Smartplus」の3陣営に分かれている。この中でそもそもJCBはドコモと浅からぬ関係があった。

 「最初はQUICPayを、ドコモと一緒に普及させようとしていたのですけどね。2004年7月には普及促進について共同でプレスリリースも出しています(2004年7月20日の記事参照)。実際に四国にある高松シンボルタワーには、ドコモと共同でQUICPayを導入しました。個別の取り組みでは共同事業がいくつかあったのですが、いつの間にかドコモが『ご自分で(iDを)始められるのですね』という状況になっていた(苦笑)」(青木氏)

 JCBはドコモに対して、おサイフケータイのプラットフォーム事業者としてのリーダー役を期待していたが、ドコモがiDを始めたことでライバル関係になってしまった。さらにUFJニコスの「スマートプラス」(2月22日の記事参照)も加えると、おサイフケータイのクレジット決済サービスは三つ巴の状態になっている。しかし、これはサービスを利用するエンドユーザー、そしてリーダー/ライターを導入する加盟店にとっては分かりにくく、率直に言えば迷惑な話である。今後の本格的な普及と、ユーザーと加盟店の利便性を考えるならば、リーダー/ライターが共用化されて異なるクレジット決済サービスであっても1台の端末で利用できるようにする必要がある。

 「我々としてもリーダー/ライターの共用化は将来的に必要だと考えています。これはエンドユーザーはもちろん、加盟店からの要望が出ることも分かりきっている。だからこそ、モバイル決済推進協議会を立ち上げたのです」(吉田氏)

 モバイル決済推進協議会は理事会社14社を中心に、非接触IC方式のクレジット決済スキームの関係整理や普及推進を担っており、リーダー/ライターの共有化もテーマの1つになっている(2005年10月25日の記事参照)。また、理事会社にはスマートプラスを推進するUFJニコスや、KDDI、ボーダフォンが参加。会員企業には電子マネー「Edy」のビットワレットも名を連ねている。

 しかし、このモバイル決済推進協議会にNTTドコモと三井住友カードなどiD陣営は参加していない。そのため傍目には、JCBを軸としたモバイル決済推進協議会と、ドコモ=三井住友カードのiD陣営の間に溝があるようにも見える。

 「モバイル決済推進協議会の立ち上げ時には、ドコモや(Suica電子マネーを持つ)JR東日本にもお声がけをしています。しかし、ドコモからは『検討します』と言われたまま、というのが現状です」(青木氏)

 ドコモやJR東日本が“参加しづらい”理由として、モバイル決済推進協議会の推奨する決済スキームとしてQUICPayが挙げられているから、という点も考えられる。これについて青木氏は、QUICPayと同協議会は現時点で近しい関係であり、議論の軸としてQUICPayがあることを認めながら、「将来的にはモバイル決済推進協議会がふたつのグループに分かれる可能性もある」と話す。

 「モバイル決済推進協議会の大枠としては、方式を問わずに非接触ICによる電子決済を推進するというものがあります。将来的に非接触ICを使った決済全般を推進するグループと、その中でQUICPayを推進するグループに分かれるという考え方はある。ですから、モバイル決済推進協議会全体としては、iDやEdyといったQUICPay以外の方式が併記されていく可能性は十分にあります。モバイル決済推進協議会としてQUICPayを強制する、というものではありません」(青木氏)

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