ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は4月25日、同社の決算発表会でSentivision(センティビジョン)と共同開発した新しいVODシステムを公開した。
STBには、汎用CPUとDSPを搭載した名刺サイズのボードが組み込まれている。OSにはLinuxを採用し、その上にソニー製品でお馴染みの「クロスメディアバー」を被せた。40GバイトのHDDも搭載しており、ストリーミングとダウンロードの両方に対応できる。なお、将来的にはSTBの機能をテレビなど家電製品へ組み込むことを検討しており、「既にボードを組み込んだ家電製品のプロトタイプも製作した」(SCNテレビポータル事業部門ポータルサービスディビジョンの土屋博一マネジャー)。
デモンストレーションでは、“Edyカード”をリーダーにかざして登録を行い、H.264による720Pのハイビジョン映像を購入・再生してみせた。このほか、MPEG-2やVC-1のデコードにも対応しており、8Mbpsまでのビットレートをサポート。デモに使われたハイビジョン映像は6M〜8Mbpsだが、「H.264エンコーダーの進歩に伴い、将来的には(HDコンテンツも)6Mbps程度に落ち着いてくるのではないか」としている。
土屋マネジャーは、「テレビなど家電を対象としたVODサービスは各社が提供しているが、なかなか伸びていない」と指摘した上で「重要なのはユーザビリティだ」と強調する。現在のVODは、専用のSTBを介してカード決済やISP課金を行うのが一般的だが、年齢制限や手続きの煩雑さが課題。対してEdy対応の新システムでは、一意のEdy番号を使用するため、たとえばコンテンツを購入したEdyカードや携帯電話を持っていれば、別のSTBでもコンテンツを再生できる。逆に、1台のSTBに対して複数のカードや携帯電話を登録することも可能で、ファミリーユースでも利便性が高い。
さらに、Edyによる認証を前提としたため、キャリアやISPに依存しないIP VODサービスを展開することも可能だ。将来的にSTB機能を内蔵した家電が登場する可能性も含め、提携コンテンツホルダーは、従来よりも幅広いユーザー層をターゲットにできるという。
同社はソニーやビットワレットと共同で、4月から最大50人規模のクローズドな実証実験を実施中だ。ただし、具体的なサービス展開については慎重な姿勢。「今はシステムを作り、コンテンツホルダーとともに検証している段階。事業化については、協力会社と共同でさまざまな角度から検討を行っていく」(土屋氏)とするに止めた。
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