企業内のIT化は、今や業種を問わず、年々進歩している。しかし多くの企業では“全社員の活動をきめ細かくサポートする”ところまでは必ずしもできていないのが現実だ。特に未開拓と言えるのが、社外で活動する社員へのサポートだ。
たとえば、営業担当者のワーキングスタイルを考えてみよう。社内サーバで運用されているメールやデータベース、業務用システムなどに、社内のPCからしかアクセスできないという会社は多い。しかしこの場合、会社の外で活動する営業担当者は、会社に戻らなければシステムを利用できないため、時間的な無駄が発生する。
見積もりを出したり、レポートを書いたりするためだけに会社に戻らなくてはならなければ、これが残業となり、結果、コストが増えてしまう。また客先で得た情報を即座にシステム側へ反映させたり、出先でメールチェックしたりするなど、迅速なコミュニケーションができることが、ビジネスの成功につながることもあるだろう。社内システムへの素早いアクセスは今後ますます重要になっていく。
これを実現するためには、イントラネットにつながったデスクトップPCだけではなく、外出先から社内のシステムを利用したり、メールベースのコミュニケーションを行える“モバイルコンピューティング”を取り入れたりする必要がある。逆にいくら基幹系を強化しても、モバイル環境で利用できるようにしない限り、現場のニーズからの乖離は避けられなくなってきている。
実はモバイルコンピューティングのニーズは、社内にもある。社外に出かけていなくても、必ずしも社員が自分の席に座っているとは限らない。必要な人と必要なコミュニケーションをいつでも取ることができる――モバイルコンピューティングの重要性はそこにあり、そのメリットは場所を問わない。
実際にモバイルコンピューティングを導入する場合、デバイスの選択肢は大きく「ノートPC」「携帯電話」「PDA」の3つに分けられる。それぞれの特徴を以下にまとめてみよう。
・ノートPC
最近のノートPCは、デスクトップPC並みの性能を持ち、バッテリーー駆動時間も長くなってきている。しかし実際には、外出先で“いつでもどこでも”利用するのはなかなか難しい。たとえば電車の中や街中でちょっとした情報を見ようとしても、席に座っている場合はともかく、立ったままでは操作がほとんど困難だ。数十分から数時間、腰を落ち着けて使う場合には、「素早く使う」という点ではまだまだ課題がある。出張や自宅に持ち帰るといったケースではデスクトップPCとほぼ同じことができて非常に便利だが、逆に1日以下の外出でノートPCを持ち歩いても、あまり出番がなかった、という経験がある方も多いだろう。
またノートPCの場合、基本的にメール受信はユーザーが能動的に手動で行う必要がある。メールを送っても、すぐに読んでもらえるかどうかはユーザー次第、通信環境次第だ。リアルタイムに連絡を取りたい、という場合には少々心許ない。
もう1つ、ノートPCは導入時のコストがどうしても高くつきがちだ。現状でいえば、軽量で持ち運びに適したノートPCは、デスクトップPCよりも価格的に高いことが多い。
また、ノートPCの導入に際し忘れてはならないのが、教育コストである。企業内でモバイルコンピューティングを必要としている対象は幅広く、そのユーザーのITリテラシーにもばらつきがある場合が多い。導入対象となるユーザーがすでに社内で同じシステムを利用している場合を除き、ユーザーにWindows XPなどそのものの利用から教育しなければならない場合も多い。
ただし、社内システム向けにソフトウェアを開発しているような場合には、それがそのまま利用できるのはノートPCの大きなメリットだ。他の携帯端末で利用するアプリケーションと比較すると画面サイズが大きいため、使い勝手のよいアプリケーションを組むことができる場合が多い。
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日
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