2005年に日本で発売された、すべてのケータイ・PDAの中でも、最も話題を集めた機種の1つといえるのが、ウィルコムのシャープ製端末「W-ZERO3」だ。話題を集めた要因はいくつかあるが、そのうちの1つに「日本初のWindows Mobile 5.0デバイスだった」ということが挙げられる。
Windows Mobile とは、組み込み用OSであるWindows CEをベースに、さまざまなアプリケーションを組み合わせた、ケータイやPDA向けの統合プラットフォームだ。これまでは「Pocket PC」と呼ばれPDAに採用されることが多かったが、ケータイに搭載されたことで、その可能性は大きく広がりつつある。従来のケータイやノートPCでは難しかったことが、通信機能を持ったWindows Mobile デバイスを使うことで可能になるのだ。
例えばW-ZERO3では、ウィルコムの通信モジュール「W-SIM」を使うことにより、音声通話・データ通信はもちろん、無線LANも利用できる。難しい設定なしですぐにインターネットにアクセスでき、Webブラウズやメールの送受信が行える。メールに添付されているWordやExcelのファイルを編集したり、PowerPointスライドショーを再生したり、といったことも簡単だ。PCでOutlookに入力したスケジュールやアドレス帳を、常に最新の状態で持ち歩くこともできる。
また、スライド式のQWERTYキーボードが付いているので、ケータイのテンキーで長い文章を入力するのには抵抗があるというユーザーにも使いこなせる。Internet ExplorerやWindows Media PlayerといったPC用Windowsでおなじみのアプリケーションが付いているので、Windowsマシンを使える人であれば、違和感なく使いこなせるのも魅力だ。
このように個人でも便利に使えるWindows Mobile デバイスだが、企業で導入することにより、新たな価値が生まれる。1つは、さまざまなシステムとの連携が可能になることだ。特にExchange Serverとの相性は抜群で、会社のメールアドレスに届いたメールをそのままWindows Mobile デバイスで受信でき、Outlookに入力したスケジュールを随時確認するといったことができるようになる。
2つ目は、各種のビジネス向けセキュリティソリューションを選択できるという点だ。例えばW-ZERO3であれば、McAfeeやNorton、Symantecといったアンチウイルスソフトに対応しており、内部データの暗号化、リモートでデータを消去したりするサービスもサードパーティからの提供が予定されている。
3つ目に、業務用ソフトウェア開発の容易さがある。Windows向けソフトの開発経験があれば、 Visual Studioを使ってソフトを開発できる。ケータイでもJavaやBREWでアプリを作ることはできるが、PC用ソフトのプログラミングとは異なるスキルやノウハウが必要になる。
ケータイよりも処理能力や画面の広さに優れ、ノートPCよりも持ち運びが楽で起動が速く、コストも圧倒的に安い。いつでもネットに接続でき、通話もできる――W-ZERO3に代表されるWindows Mobile デバイスは、ケータイとノートPCの間を埋めることができる存在だ。
現在日本ではWindows Mobile を採用したケータイはW-ZERO31機種しかないが、今後他キャリアからも登場する予定で、2006年は本格的にWindows Mobile が日本に上陸する年になりそうだ(3月20日の記事参照)。
まず最初に、Windows Mobile で何ができるのか、以下で詳しく見ていこう。今までケータイではあまりOS自体に注目することは恐らくなかったと思うが、W-ZERO3などの端末の企業利用を考える上では非常に重要な要素になってくる。なおここからの説明は特に断りがない場合を除き、W-ZERO3だけについてではなく、Windows Mobile デバイス全般を指す点に注意していただきたい。
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※記載されている会社名および商品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。記載事項は2006年5月現在のものです。
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年6月30日
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