ウィルコムは6月6日、メモリ増量版のW-ZERO3(WS004SH、6月6日の記事参照)の発表会の中で、法人向けソリューションサービスを8月から提供していくことを明らかにした。
サービスの名称は「WILLCOM Business Package」(仮称)で、2タイプ用意される。「WILLCOM Business Package A」は、「Exchange Server」と組み合わせてメールやグループウェア機能を利用できるASPサービス。「WILLCOM Business Package B」は、IP-VPNを利用して企業内のイントラネットに閉域網を使ってセキュアにアクセスできる環境を、定額で提供するサービスとなる見込みだ。価格など詳細については、8月のサービススタートまでに明らかにするという。
W-ZERO3のOSである「Windows Mobile 5.0」は、同じマイクロソフトのサーバ製品であるExchange Serverとの親和性が高い。最新版のExchange Server 2003 SP2と、Windows Mobile 5.0を組み合わせると、サーバとモバイル端末との連携機能を強化できるようになっている。
強化される連携機能とは、
など。ポイントは、サーバもモバイル端末も、両方のOSをそれぞれ最新版にするところにある。
Windows Mobileは、実は“Feature Pack”“AKU”という形でソフトウェアアップデートが行われており、少しずつ機能が追加されている。特に重要なのが、2005年11月にリリースされた「MSFP(Messaging and Security Feature Pack)」と呼ばれるFeature Packで、これに対応して初めて、ExchangeとWindows Mobileの連携機能がフルに使えるようになるのだ。
2005年12月に発売されたW-ZERO3(WS003SH、2005年10月20日の記事参照)はMSFPに対応していないが、WS004SHはMSFPに対応した形で発売される。ウィルコムではMSFP対応の効果について「Exchange Serverと連動して、メール/スケジュール同期、リモートロックが利用可能に」としており、プッシュEメールをサポートするかどうかは明言を避けた。
Windows Mobileのような組み込みOSの場合、あとからソフトウェアアップデートによる機能追加をすることが難しく、機器がどのバージョンに対応しているかが非常に重要になってくる。特にExchange Serverと組み合わせて利用する場合、最新のFeature PackであるMSFPと、最新のAKU 3.0に対応したWS004SHを導入することは非常に重要なポイントとなるのだ。
ウィルコムではW-ZERO3の法人向け販売を強化しているが、販路の拡大が課題となっていた。「うちの法人部隊は小さくて、100人もいない。大企業などの大型案件は受けられるが、数がこなせていない。人数が足りないために、ニーズはあるが時間がかかっているというのが現状」(ウィルコム執行役員喜久川政樹氏)
これまでにもウィルコムは、日立製作所や大塚商会といった大手システムインテグレータとの提携を発表し(4月20日の記事参照)、中規模な導入(数十回線以上の利用)のカバーを目指している。WILLCOM Business Package Bは、この路線をさらに強化するものだ。
さらに小規模な導入の場合は、Exchange ServerとW-ZERO3を組み合わせたASPサービスでの対応を考えており、すでにピーエスシーが「P-BERRY」というASPサービスを提供している。今回発表されたWILLCOM Business Package Aは、P-BERRYをベースにウィルコムブランドで展開するものになるようだ。
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