ソフィア、W-SIM対応端末の開発プラットフォームを製品化

» 2006年06月26日 14時11分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]
photo Sandgate WP(W-SIM Phone)

 ソフィアシステムズは6月26日、Linux OS搭載/W-SIM対応端末向け開発プラットフォーム「Sandgate WP(W-SIM Phone)」を製品化し、発売すると発表した。ウィルコムのPHSモジュール「W-SIM」に対応したハードウェアやアプリを開発するベンダーを対象に、8月より販売を行う予定だ。

 Sandgate WPは、W-SIMを利用する端末の開発用途や、検証用ツールとして利用できるリファレンスプラットフォーム。W-SIMを挿すと音声端末として利用できるストレート型PHS端末、デバッグ用ボードなどのハードウェアと、Linuxベースのミドルウェア(仮称はWTOOL)やSDKなどのソフトウェアで構成される。ハードウェアはソフィアシステムズが、ソフトウェアは富士通ソフトウェアテクノロジーズが開発した。

ハードウェアに近いところ(図のうち、ピンク色と薄い黄色の部分)をソフィアシステムズが、ミドルウェアや上位アプリに近い部分(黄色い斜線の部分)を富士通ソフトウェアテクノロジーズが開発している

 Sandgate WPを購入したハードウェアベンダーには、回路図や部品表も提供するため、W-SIM対応端末を簡単に開発できるようになる。Sandgate WPに実装されているメールソフト、アドレス帳、スケジューラーなどの上位アプリも、提供メーカー(下表参照)のライセンスを受ければそのまま流用できる。PHSや携帯電話の開発には1年程度かかるのが通常だが、「目安としては、最短2〜3カ月で1機種の開発が可能になるはず」(ソフィアシステムズ)

 Sandgate WPの評価端末は、CPUにIntel PXA270(416MHz)、64Mバイトのメモリ、128MバイトのフラッシュROM、Linux Kernel 2.6.15ベースのOSを採用し、130万画素CCDカメラ、2.2インチQVGA液晶、USB(mini Bコネクタ)、miniSDスロット、赤外線、Bluetooth、W-SIMスロット、JTAG・Serial・LANなどのデバッグ用ボード、ハードウェア追加のための拡張ポートなどを備える。本体サイズは145×48×22ミリ、重量110グラム。


提供予定のアプリケーション
富士通ビー・エス・シー POP/SMTPメールソフト「Be Star Mail」
アドレス帳/メモ帳/スケジューラー「Be Star PIM」
Tao Group ブラウザ「Qi」
Java VM(MIDP 2.0)「intent」

提供予定のミドルウェア
オムロンソフトウェア 日本語入力システム「Advanced Wnn」
リムコーポレーション フォント「Mobile Type」
NECエレクトロニクス
フュートレック
MIDI再生

 W-SIMはもともと、通信機能をハードウェアから分離してモジュール化することにより、家電や玩具など、通信機器の開発経験がないメーカーが対応端末を開発したり、少数生産を可能とすることを狙っていた(2005年7月7日の記事参照)

 W-SIMに対応した音声端末は、まだ「W-ZERO3」「TT」「キッズケータイpapipo!」しかないが、Sandgate WPのようなプラットフォームを使えば、対応端末の開発はより容易になる。ウィルコムが当初アピールしていた「少数生産ニーズの掘り起こし」「多様な端末の開発促進」といった目的に沿った展開が進みそうだ。

 6月28日から東京ビッグサイト(国際展示場)で開催される「組込みシステム開発技術展(ESEC)」の富士通グループブースでは、Sandgate WPのデモ展示を行う。

photo Sandgate WPの評価端末はストレート形状。一般に販売されているストレート型の音声端末よりもやや大ぶり
photo 背面にはカメラのレンズがあり、その下にマクロ切り替え用のディップスイッチが付いている。バッテリーの下に見えるのは、デバック用ボードをつなぐための端子
photo 本体側面にはminiSDスロットやW-SIMスロット、USBのミニ端子、リセットボタンなどが配置されている。W-SIMは押し込むと脱着できる

メニュー画面、各種設定画面、文字入力画面。日本語入力エンジンは、Advanced Wnnが採用されている

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