ソフィアシステムズは6月26日、Linux OS搭載/W-SIM対応端末向け開発プラットフォーム「Sandgate WP(W-SIM Phone)」を製品化し、発売すると発表した。ウィルコムのPHSモジュール「W-SIM」に対応したハードウェアやアプリを開発するベンダーを対象に、8月より販売を行う予定だ。
Sandgate WPは、W-SIMを利用する端末の開発用途や、検証用ツールとして利用できるリファレンスプラットフォーム。W-SIMを挿すと音声端末として利用できるストレート型PHS端末、デバッグ用ボードなどのハードウェアと、Linuxベースのミドルウェア(仮称はWTOOL)やSDKなどのソフトウェアで構成される。ハードウェアはソフィアシステムズが、ソフトウェアは富士通ソフトウェアテクノロジーズが開発した。
Sandgate WPを購入したハードウェアベンダーには、回路図や部品表も提供するため、W-SIM対応端末を簡単に開発できるようになる。Sandgate WPに実装されているメールソフト、アドレス帳、スケジューラーなどの上位アプリも、提供メーカー(下表参照)のライセンスを受ければそのまま流用できる。PHSや携帯電話の開発には1年程度かかるのが通常だが、「目安としては、最短2〜3カ月で1機種の開発が可能になるはず」(ソフィアシステムズ)
Sandgate WPの評価端末は、CPUにIntel PXA270(416MHz)、64Mバイトのメモリ、128MバイトのフラッシュROM、Linux Kernel 2.6.15ベースのOSを採用し、130万画素CCDカメラ、2.2インチQVGA液晶、USB(mini Bコネクタ)、miniSDスロット、赤外線、Bluetooth、W-SIMスロット、JTAG・Serial・LANなどのデバッグ用ボード、ハードウェア追加のための拡張ポートなどを備える。本体サイズは145×48×22ミリ、重量110グラム。
提供予定のアプリケーション | |
---|---|
富士通ビー・エス・シー | POP/SMTPメールソフト「Be Star Mail」 アドレス帳/メモ帳/スケジューラー「Be Star PIM」 |
Tao Group | ブラウザ「Qi」 Java VM(MIDP 2.0)「intent」 |
提供予定のミドルウェア | |
---|---|
オムロンソフトウェア | 日本語入力システム「Advanced Wnn」 |
リムコーポレーション | フォント「Mobile Type」 |
NECエレクトロニクス フュートレック |
MIDI再生 |
W-SIMはもともと、通信機能をハードウェアから分離してモジュール化することにより、家電や玩具など、通信機器の開発経験がないメーカーが対応端末を開発したり、少数生産を可能とすることを狙っていた(2005年7月7日の記事参照)。
W-SIMに対応した音声端末は、まだ「W-ZERO3」「TT」「キッズケータイpapipo!」しかないが、Sandgate WPのようなプラットフォームを使えば、対応端末の開発はより容易になる。ウィルコムが当初アピールしていた「少数生産ニーズの掘り起こし」「多様な端末の開発促進」といった目的に沿った展開が進みそうだ。
6月28日から東京ビッグサイト(国際展示場)で開催される「組込みシステム開発技術展(ESEC)」の富士通グループブースでは、Sandgate WPのデモ展示を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング