ウィルコム、PHSコアをモジュール化

» 2005年07月07日 16時05分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 ウィルコムは7月7日、PHSの通信部分をカード型のモジュールに収めた「W-SIM」(ウィルコムシム)などを発表、「WILLCOMコアモジュール」構想を明らかにした。

 開発が難しい通信部分をまとめることで、外側の端末部分を容易に作れるようにするのが狙い。「すぐれた技術をお持ちの会社がたくさんあるが、無線が得意ではないため携帯端末事業への参入が難しかった。企業のコアではない無線の部分の負担を軽減したい」(ウィルコムの八剱洋一郎社長)

 W-SIMを使った端末は、「WILLCOM SIM STYLE」と呼ばれる。通信部分にモジュールを使うことで、少量生産にも対応できる。音声電話機のほか、データ端末などが想定される。年内に対応機種が投入される見込みだ。

WILLCOM SIM STYLE端末が音声端末として年内にも登場予定
無線部分をモジュールとして提供することで、端末開発メーカーは自社の強みに注力することができる

 ウィルコムではモジュールを使った開発を促進するため、「WILLCOMコアモジュールフォーラム」も設立する。通信機器ベンダーのほか、ソフトウェアベンダーなども参加する予定で、アップルコンピューターやカシオ計算機、京セラ、三洋電機、東芝、トミー、日本IBM、バンダイ、富士通、マイクロソフトなど約50社が賛同を表明している。フォーラムに参加することで、モジュールのスペックが開示されるほか、ウィルコムの無線ネットワーク改善プログラムにも参加できる。

W-SIMは抜き差しが可能。サイズは、25.6×42×4ミリ。重さは10グラム以下。試作機は本多エレクトロン製。SDカードと並べてみた(右)

アンテナ内蔵のW-SIM。通信速度は128Kbps

 W-SIMは、PHSの通信機能からアンテナ、電話帳メモリなども内蔵するモジュール。音声通話のほか、回線交換/パケット通信も可能。台湾およびタイでの国際ローミングにも対応する。データ通信速度は最大128Kbpsで、電話帳700件分に相当する約600Kバイトのメモリも備える。構内PHS機能やトランシーバー機能は今回は省かれた。

 独自の18ピン仕様で、ユーザーが抜き差しすることも可能になっている。モジュール自体が独立した電話機として認定される構造になっており、外側の電話機部分はTELECやJATEなどの認定が必要ない。

 W-SIMの価格は未定だが、「1万円を超えることはなさそう」(八剱氏)。

 現状のデータ通信速度は最大128Kbpsだが、今後高速化も図っていく。「今から10カ月のタイミングで1.5倍はできる。2年はかからずに3倍とか4倍を目指している。スピードが速くなればモジュールだけ取り替えて、速度を上げるという設計にすることも可能」(八剱氏)

W-SIMのほかに、データ通信に特化しテレメタリング用途を狙った「CSCエンジン」(中央)、およびそのチップ版である「PHSエンジン」も展示された。CSCエンジンを使った製品も年末にかけて登場する見込み

少量生産や、潜在市場へのアプローチにW-SIMを活用

 今後、従来型の音声端末も並行して開発する。「従来型の端末は、数万から数十万台と最低の製造ロットが大きい。ある程度の数量が出る場合はW-SIMを使わずに対応する。個数がそれほど大きくない場合、W-SIMのほうが有利になる」(八剱氏)。W-SIMを使った端末は、まずは音声端末となる見込みだが、車両や家電などさまざまな分野への展開を見込んでいる。

 「従来ターゲットとしていた市場よりも大きな市場が狙えるのではないか。潜在市場にアクセスできるものを投入したい。車であればロケーション、あるいは医療機器。例えば移動中の救急車両からドクターに状況を知らせる仕組み。または家電に組み込んでなど」(八剱氏)

 W-SIMを使った製品の販売については、通信とハードウェアの分離が前提。「ハードはメーカーのブランド名で出る。修理などのサポートもハードのメーカー。ただしサポートはウィルコムも行う」(土橋匡氏)。家電などに組み込まれた場合も、利用者はウィルコムとの通信利用契約が必要となる。また、ハードウェアメーカーの販売形態にもよるが、販売のコミッション適用(インセンティブ)もあり得るとした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月14日 更新
  1. 誤爆で「ワインが20本も届いちゃう」 押せば注文できる“Amazon Dash Button ”とは何だったのか (2026年07月11日)
  2. 専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識 (2026年07月14日)
  3. スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線 (2026年07月10日)
  4. スマホは本当に会話を「盗聴」して広告を出しているのか? 専門調査と最新事例から考える (2026年07月13日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. 日本のテスラで解禁された対話型AI「Grok」を試してみた 従来のカーナビを圧倒する異次元の利便性 (2026年07月13日)
  7. ポケモンGOからNianticのロゴが消える 起動画面に「SCOPELY EXPLORE」、10周年の節目に (2026年07月12日)
  8. その使い方、発火リスクあります──モバイルバッテリーで真夏にやってはいけないこと INFORICHが啓発 (2026年07月13日)
  9. スペックが同じに見えるNothingの「Phone (4a)」と「Phone (4a) Pro」のカメラ 撮り比べて分かった“意外な違い” (2026年07月13日)
  10. 4キャリアのネット銀行、メイン利用率は35.8% 契約キャリアとの結び付きが強い結果に MMDが調査 (2026年07月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー