専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識(1/2 ページ)

» 2026年07月14日 10時30分 公開
[佐藤颯,ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 最近の中国メーカー製スマートフォンを使っていて、「純正充電器以外だと、思ったより速く充電できない」と感じたことはないだろうか。かつては専用の充電器を使わなければ急速充電が機能しない機種も多かったが、近年はその状況が大きく変わりつつある。鍵となっているのが「USB PPS」という規格への対応だ。

USB PPSはUSB PDの拡張規格、細かな充電の制御が可能

 USB PPS(Programmable Power Supply)は、USB Power Delivery(USB PD)の拡張仕様の1つだ。充電器とスマートフォンがリアルタイムで通信しながら電圧、電流を細かく調整できるのが特徴で、高効率かつ高出力の充電が可能となる。

USB PPS
USB PPS USB PPSに対応する充電器はAnkerをはじめ、多くのメーカーから登場している(画像はAnker Nano Charger 70W 3 Port。記事執筆時点の価格は5990円)

 規格の策定当初はサムスン電子のGalaxyが超急速充電(Super Fast Charging)として採用するにとどまったが、今では中国メーカーの機種でも採用が広がっており、スマホ向けとしては万能規格となりつつある。

 直近の日本向け機種では「OPPO Find X9」シリーズ、「Xiaomi 17」シリーズ、「POCO X8」シリーズ、「REDMAGIC 11」シリーズなどが対応し、Xiaomiは一部機種で最大100Wに対応する。この他に日本未発売ではあるが、vivoやHONORなどの比較的新しい機種にも採用が進んでいる。

 つまり、対応するPPS充電器さえあれば、日本でもメーカーを問わずスマートフォンを急速充電できる環境が整いつつある。サードパーティー製の充電器でも、「PPS対応」と明記されたモデルであれば、多くの機種で急速充電が有効になる。

 なお、iPhoneは「iPhone 17」以降の機種にて、USB PD 3.2で拡張された「Standard Power Range Adjustable Voltage Supply(SPR AVS)」に対応している。細かく電圧や電流を制御する挙動は似ているが、今回取り上げるUSB PPSとは異なる仕様だ。

日本で手に入る主なUSB PPS対応スマートフォンをチェック

 日本で正規販売されている機種のうち、PPSによる急速充電が確認できる主なモデルを以下にまとめた。

 OPPOではフラグシップの「Find X9/X9 Ultra」「Find X8」、折りたたみの「Find N6」の他、ミッドレンジの「Reno11 A」が55WのUSB PPSに対応する。

 また、「Reno13 A」「A3 Pro 5G」は45W、「Reno14 5G」「A5 5G」では33WのUSB PPSに対応するため、OPPOスマホの多くが汎用(はんよう)的なPPS充電器で急速充電ができる。PPSの対応状況については、メーカー公式サイトにて対応可否を確認できる。

  Xiaomiでは「Xiaomi 17T Pro」「POCO F8 Pro」「POCO X8 Pro/Pro Max」が100W、「Xiaomi 17 Ultra」が90W、「Xiaomi 17T」が67WのUSB PPSに対応する。こちらも公式サイトで対応可否を確認できる。

 XiaomiはUSB PPS規格をベースにした独自の急速充電を採用していたが、2025年の秋に汎用のUSB PPSでも利用できるように開放すると発表。以降に発売の機種では充電器を選ぶ自由度が高まったが、日本向けでは2026年以降に登場した機種が基本的に対応(※)となる点に注意が必要だ。

※2021年発売のXiaomi 11T Proのように汎用PPSの100W充電に対応する機種が存在するが、大半の機種は対応していなかった。

 nubiaはFastlane Japanが取り扱う「nubia Z80 Ultra」や「REDMAGIC 11シリーズ」は80WのUSB PPSに対応。ZTE Japanが取り扱う「nubia Fold」は66W、「nubia Neo 5 GT」は55W、「nubia Flip」シリーズが33WのUSB PPSに対応する。

 nubiaは廉価機種が多かったが、近年は「nubia Fold」といった急速充電に対応する上位機種も日本向けに販売されている。こちらも充電器を比較的選びやすいが、公式サイトには詳細が掲載されていない。

USB PPS OPPOはエントリーからフラグシップまでしっかりUSB PPSに対応。充電器が付属しない機種もあるので、急速充電器が入手しやすいのはうれしい(画像はOPPO Find N6)
USB PPS Xiaomiは2026年以降の機種からUSB PPSに正式対応。従来機では、サードパーティー製品だと27Wが上限だったので、うれしい進化だ(画像はXiaomi 17 Ultra)

 Galaxyシリーズの急速充電は「超急速充電」と区分されているが、実態はUSB PPS規格となる。現在は最大60Wの超急速充電3.0(Galaxy S26 Ultraのみ対応)、最大45Wの超急速充電2.0(UltraやFoldなどの一部機種が対応)、多くの機種で対応する最大25Wの超急速充電がある。

 また、Google Pixelは最新モデルの「Pixel 10」が30W、上位モデルの「Pixel 10 Pro XL」が45WのUSB PPSに対応する。

USB PPS Galaxyを充電中に「超急速充電」の文字が表示されている際は、USB PPSにて充電されている

国内メーカーのスマホは「隠れPPS対応」が多い

 一方で、ソニー、シャープ、FCNTといった国内市場主体のメーカーは、スペック表に「USB PD対応」とだけ記載してPPSの文字を出さないケースがほとんどだ。ただ、実態を調べると話は変わってくる。

 ソニーのXperiaは、純正の急速充電ACアダプターXQZ-UC1の製品ページには「USB PD規格のPPSにより熱を抑制する」と明記されており、実際に「Xperia 1 VII」は市販のPPS対応充電器だと実測で約30Wの急速充電が機能する。また、ドコモの製品サイトにはUSB PPSに対応していることが、スペック表に明記されている。

 シャープの「AQUOS R9 pro」も本体表記は「USB PD 3.0」のみだが、ドコモやソフトバンクの製品サイトでは「USB PPS対応」とあり、USB PPSに対応したACアダプターが推奨アクセサリーとして指定されている。

USB PPS Xperiaの30W 純正充電器はUSB PPSに対応する。Xperia 1 VIIにて実測で30Wほどの出力を確認できたが、充電時間はUSB PDの27Wと大差ない

 FCNTの「arrows Alpha」は「最大90W(USB PD 3.0)」という表記だが、公式の動作確認済み充電器の条件は「PD・PPS対応で出力100W以上」となっており、90Wをフルに引き出すにはUSB PPSが必要とみられる。

 参考までにモトローラも独自規格「TurboPower」を前面に出しているものの、製品に付属する充電器を確認すると100W級のUSB PPSに準拠している。レノボ傘下のFCNTも同じくPD/PPSベースの設計と考えるとつじつまが合う。

 モトローラの125W純正充電器の対応プロトコルをテスターで確認してみると、専用規格の125W充電とは別にUSB PD規格にも対応する。USB PPSの項目に11V-5Aと20V-5Aの2つを確認でき、最大で100WのUSB PPSに対応していることが分かる。対応するスマートフォンならモトローラ以外でも急速充電が可能だ。

USB PPS
USB PPS モトローラの純正Turbo Power対応急速充電器はUSB PPSにも対応する

 つまり、日本で売られているAndroidスマートフォンの急速充電は、名前こそメーカーごとにバラバラだが、多くの製品がUSB PPSに対応しつつあるのが実情だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月14日 更新
  1. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  2. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  3. 個人情報の流出にユーザーはどう備える? 乗っ取りやクレカ不正利用を防ぐ「3段階」の対策ガイド (2026年10月12日)
  4. 楽天モバイル、KDDIローミングが大幅に縮小――ユーザーに対する説明責任はないのか (2026年10月11日)
  5. Google、画面付きトラッカー「Google Fitbit Edge」発表 日本では2万6800円で予約開始 バッテリー交換にも対応 (2026年10月13日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. ダイソーで1100円のノイキャンイヤフォン「TWS009」を試す 騒音カットの効果は実感も電池持ちに課題か (2026年10月09日)
  8. NTTドコモ、新幹線ホームでの動画視聴を快適に JR名古屋駅の通信品質、どう改善? (2026年10月12日)
  9. ファーウェイはなぜ「24時間測り続けること」にこだわるのか ウェアラブル開発責任者が語る医療機器との違い (2026年10月13日)
  10. 10月1日から楽天モバイルの「au 4G LTEエリアローミング」が縮小も意外と残っている件 (2026年10月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー