カナダのResearch In Motion(RIM)の会長兼共同CEOジェームス・バルシリー氏によれば、同社は人気の携帯端末「BlackBerry」について、Wi-Fi技術と携帯電話技術の両方を搭載するバージョンを年内にリリースする計画という。
さらにRIMは今後、他社製デバイスでもBlackBerryネットワークを利用できるようにするための「BlackBerry Connect」サービスを米国で拡大していく方針という。「7月からはPalmデバイスにもBlackBerry Connectサービスが提供されることになる」とバルシリー氏は6月28日、ニューヨークで開催された「C3 Expo」でeWEEK編集部に語っている。「今はBlackBerry以外の20種類のデバイスでBlackBerryサービスを利用できるが、年内にさらに20種類のデバイスで同サービスを利用できるようになる」と同氏。
BlackBerry Connectサービスは現在GSMデバイスにしか対応していないが、バルシリー氏によれば、近い将来、CDMA通信事業者もBlackBerryネットワークに対応する見通しという。「プロバイダー各社は、世界100カ国の200社の通信事業者を相手に自社のデバイスを販売したいと考えているため、フォーカスはGSMに置かれている」と同氏。
またバルシリー氏によれば、RIMは近い将来、MP3プレーヤー、ビデオ、メモリ拡張、画像キャプチャなどの新機能をBlackBerryデバイスに追加する方針という。さらに同氏は、BluetoothのGPS受信機に対応する一部のデバイスを除いて、事実上すべてのBlackBerryデバイスにGPSが搭載されることになるだろうと語っている。
バルシリー氏は基調講演で、エンタープライズの幾つかの分野でRIMの役割が拡大中だと語っている。「ワイヤレスデータで最も重要なのはセキュリティだ」と同氏は語り、ワイヤレスでパーシステントコネクションを使うプロセスが問題だと指摘している。「リスクは全域に及ぶ」と同氏。同氏によれば、セキュリティはBlackBerryの「得意分野」だ。そして同氏によれば、RIMのミドルウェアとBlackBerryはNSA(米国家安全保障局)も含め、多様な政府機関から認められている。「当社の製品は軍隊でも大いに活用されている」と同氏は語り、セキュリティを後付けで追加している他社のワイヤレスソリューションを批判している。
バルシリー氏によれば、RIMが提供しているのは「プロセスのリエンジニアリングの見込み」だ。つまり、サービス/販売やITオペレーションに移動性を持たせ、業界のプロフェッショナルに移動性を持たせる能力だ。さらには、汎用のインスタントメッセージング(IM)アカウントとWebサービスのほか、エンタープライズIMを使用する能力も提供される。「BlackBerryは単なる電子メールではない」と同氏。
「いまやRIMは、無料またはわずかな料金で提供されるBlackBerryのソフトウェアインタフェースを使ったモバイルユーザーへのあらゆるエンタープライズアプリケーションの拡張をサポートできる」とバルシリー氏は語っている。さらに同氏によれば、RIMは標準ベースのオープンなモバイルアプリケーションプラットフォームを使ったモバイルデータサービスの提供も計画している。さらにRIMは、レガシーシステムであれIP PBXであれ、社内のPBXで直接電話を使えるよう、TDMベースとSIPベース両方の電話システムに対応する仮想PBX接続を追加する計画という。
またバルシリー氏は、「最近急速に成長し始めている分野の1つにBlackBerryの周辺機器市場がある」と語っている。同氏によれば、そうした周辺機器には、プリンタ、バーコードスキャナ、RFID(無線IC)スキャナ、デジタルペン/ペーパーなどが含まれる。「まだまだ発展性がある」と同氏。
バルシリー氏はプレゼンテーションの後、eWEEK編集部に対し、「目標の1つは、エンタープライズ市場にワイヤレスを拡大し、各社のコストを引き下げ、ひいてはROI(投資利益率)を改善することだ」と語っている。同氏は、この目標はBlackBerryプラットフォームだけに当てはまるものではないとしながらも、皆がBlackBerryを持つようになることを期待していると語っている。「企業にとって、携帯電話のデータプランの価格はシンプルかつ些細な付加価値となる」と同氏。
バルシリー氏はRIMがPalmの買収を交渉中との噂についてはコメントを断り、「当社は多数のワイヤレスデバイスプロバイダーのうちの1社だ」とだけ語っている。また同氏は、どのBlackBerryを一番クールだと思うかという質問にも返答を断り、「さまざまなユーザーのニーズを満たすべく、それぞれにそれぞれの特徴がある」と語っている。
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