連載
» 2006年07月25日 20時09分 公開

「ムーバよりつながるFOMA」への取り組み――NTTドコモに聞くInterview: (2/3 ページ)

[神尾寿,ITmedia]

FOMAユーザーの急増に対応する

 今年6月、FOMAユーザーはついにドコモユーザーの半数を超えた(6月19日の記事参照)。今後、ドコモの中でムーバからFOMAへの移行が急速に進むことが予想できる。すると、ユーザーとして心配になるのが、トラフィックの急増による輻輳や通信速度の低下だろう。

 これらの対策としては、まずは前述の小型基地局やルーラルタイプ基地局の増設による容量拡大が効果を上げている。さらに今後のFOMAユーザーの伸びに対応するため、総務省が定めた周波数の追加割り当てのスキームを効果的に活用するという。

 「総務省は(各キャリアの)3Gユーザーの数に応じて、周波数の追加割り当てを行う方針を発表しています。近々、ドコモは6波目をもらえると考えています。その後は、(FOMAユーザーが)3000万契約を超えると7波目がいただける予定です。ユーザー増と周波数の追加割り当てのスキームができていますので、周波数不足の問題はクリアできます」(石川氏)

 ドコモではすでに800MHz、2GHz、そして東名阪では1.7GHz帯の3つの周波数を使い分けている。ユーザー側からは周波数の違いを意識することはないが、ドコモ側では「エリアの距離を稼ぐときには(プラスエリアの)800MHz、混雑している都市部では1.7GHzという具合に使い分けている」(石川氏)状況だ。しかし、どの周波数を使うかは基地局と端末がバランスを取りながら行うので、例えば1.7GHz対応機の方がそうでない端末よりもつながりやすい、といった事はないという。

 「今後の周波数利用では、まず800MHzの有効活用があります。800MHz帯は2012年の再編を控えていますが、それまでもムーバ(のシェア)を縮退させていきますので、周波数の一部はFOMAで使っていきます。実際、今も東京都心のど真ん中で800MHz帯のFOMA基地局が1ヶ所だけ稼働しています。2012年以降は800MHz帯が再編されて、ドコモとauに新たな割り当てがあるでしょうから、そこからは全面的に利用していくことになるでしょう。

 また1.7GHz帯と800MHz帯を使っても周波数が足りなくなることは考えられますので、その後は(シティフォンが使う)1.5GHzの再編や新たな周波数の利用が視野に入ってきます。今後のFOMAは複数の周波数帯の対応が必須になるでしょう。すでにドコモでは4つの周波数に対応する電力増幅器を開発しましたが、こういった取り組みは今後重要になっていきます」(石川氏)

 むろん、複数の周波数利用や追加割り当てがあるとしても、ドコモユーザーの多さは無視できない要素である。基地局や端末で新たな周波数に対応するのと並行して、現行規格の3倍の通信容量拡大が見込めるHSDPA導入も急ピッチで進めるという。

 「HSDPAについては当面の目標としてカバー率90%を見込んでいます。当初対応するのは標準型の基地局ですが、ルーラルタイプなど小規模局でも対応は可能で、HSDPA対応をどう進めるかはエリア戦略上の判断になります」(石川氏)

道路、新幹線対策も着実に進む

 ドコモでは今年の9月までに、FOMAエリアをムーバ相当以上にすると明言している。屋外の面エリアでは、地方郊外も含めて、ムーバがつながる場所はFOMAもつながる状況になる。

 「ムーバ以上の面エリアの広がりとなりますと、政府の格差是正スキームや伝送路補助事業などで補助をいただきながらやっていく事になります。ただ、こちらは少し時間がかかる取り組みになります。ですから、今年秋まででいうと、ムーバが使える場所と、これまでムーバも使えなかった地方のJR駅や道の駅まで、ということになります。これは沖縄から北海道まで全国の取り組みです」(石川氏)

 しかし、年内の段階でムーバを超えられないスポット的なエリアもある。それは地方の道路や新幹線など、“線のエリア”だ。

 「まず道路では、高速道路は基本的にすべて対応したいと考えています。しかし、地方のごく一部の高速道路で使えない場所があるのは事実です。また、地方の国道でもFOMAが使えないところはあり、これらのエリア対応がいつになるかは今のところ決まっていません。

 一方、新幹線のエリアは、ムーバでは東海道新幹線でトンネル対策までできていたのですが、FOMAは沿線基地局の新設やチューニングで努力していますが、トンネル対策まではできていない。結果として、『ムーバよりも切れやすい』というお客様の声があります。しかし、来年度末には(東海道新幹線の)すべてのトンネルで対策設備を設置します」(石川氏)

 トンネル対策はJR東海の協力を受けて、安全対策を取りながら進めなければならない。また新幹線の速度が速いこともあり、入念なエリア調整も必要だ。これらの理由からFOMAエリアの拡大で時間がかかっているが、来年度末までには対策工事が終わり、FOMAの利用環境が改善されるという。これはビジネスユーザーを中心に、東海道新幹線の利用が多い人には朗報だろう。

 また、他の新幹線路線についてもJRと連携してFOMAエリアの改善が予定されている。「JR東日本からは東北新幹線ならびに上越新幹線も早期に(FOMAエリア改善に)対応してほしいとの要望をいただいています。こちらも対応設備の設計を行いまして、来年度には東京=仙台間を手始めに改善を行っていきます」(石川氏)

 高速道路・新幹線などモビリティの分野でも、今年から来年度にかけてFOMAが安心して使えるようになる。屋外や屋内のエリア拡大と並んで、これは重要な取り組みと言えるだろう。

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