ソニー、新バージョンのカード向けFeliCaチップを開発

» 2006年11月08日 15時27分 公開
[ITmedia]

 ソニーは11月7日、富士通と共同で新しいFeliCaチップを開発したと発表した。FeliCaを利用したカードを製造するメーカーに向けて販売する。

 新チップの最大の特徴は、メモリ容量を増したことだ。現行製品のメモリ容量が4Kバイトなのに対し、新しいFeliCaチップのメモリ容量は9Kバイト。電子マネー、ポイントサービス、会員証機能など複数のアプリケーションを搭載したカードや、データ容量の大きな生体認証対応カード、電子チケットといった利用法に適している。

 また、富士通製のFRAMを採用したことにより、処理スピードが高速化した。データビット転送速度は従来の212kbpsから424kbpsに向上し、またリーダー/ライターから送信されるデータビット転送速度に応じて自動的にカードの受信/返信速度が切り替わる機能を備えたことにより、簡単に高速通信機能を利用できるようになった。従来のFeliCaカードは、リーダー/ライターにかざしてからデータ検出、カードとリーダー/ライターの相互認証、データ読み込み、データ記録までの処理を約0.1秒で実現していたが、新チップではさらに高速化しているという。

 さらに、民生用機器のセキュリティとしては最高レベルのISO/IEC 15408の評価保証レベルEAL4+認証を申請中で、2006年中に取得予定となっている。データ書き換え耐性も向上し、100億回のデータ書き換え耐性を実現している。

 現在、FeliCaチップはメモリ容量が2K/4Kバイトのカード用モデルのほか、接触ICとのデュアルインタフェースチップとして利用する16K/32Kバイトのカード用モデル、携帯電話(おサイフケータイ)に搭載するモデルの3系統が出荷されている。

 2K/4Kバイトモデルは、電子マネーや交通乗車券、社員証といった流通量の多いFeliCaカードに採用されるチップで、新チップは4Kバイトモデルの後継製品という位置付けで、価格も変わらない。ただし新チップは日本鉄道サイバネティクス協議会が定めたサイバネ規格に対応していないため、日本の交通乗車券には対応していない(現在は4Kバイトモデルが交通乗車券用に利用されている)。

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