ITmedia ビジネスオンライン

インタビュー

ソフトバンクモバイルの2007年:

「2.5GHz帯を全力で取りに行く」──ソフトバンクモバイル松本副社長 (2/2)

2007年01月01日 09時00分 更新
前のページへ 1|2       

 松本氏は、モバイルWiMAXと802.20の技術検証の際には、3つのポイントを重視していきたいという。

Photo

 「まずはデータ当たりのビット単価が安くなくてはならない。それには周波数あたりのデータスループットが重要。もう1つはリンクバジェット(基地局から端末までの電波の到達距離。これによってエリアカバーに必要な基地局の数と、基地局あたりの単価が割り出せる)。この点を考慮し、安価なコストのネットワークを構築できるかが重要だ。またサービス面では移動体をカバーできることが課題になってくる。クルマのなかでも使えることは必須。もう1つは面的なカバーで、ハンドオーバーがきちんとできなくてはならない。さらにQoSも重視したい。音声通話や対戦ゲームを実現するにはQoSが強くなくてはならないからだ」(松本氏)

 さらに、次世代の通信システムを決めるには、技術的な側面だけでなく、どのようなビジネスモデルが描けるかも考慮しなくてはならない。

 「技術的な検証だけでなく、どんなビジネスモデルが展開できるか、またインテルやクアルコムから何らかのサポートが得られるか、といったことも見極める必要がある」(松本氏)

 モバイルWiMAXに関しては、無線LANとともにノートPCに標準搭載される可能性が大いに期待できる反面、技術的に解決しなくてはならない課題も多い。一方802.20は、技術的には優位な点があるものの、インテルのような対応チップの広がりは期待できそうにない。まだフィールド実験を行っていないのもマイナスだ。そのためソフトバンクモバイルでは、いまだ通信システムの選択に苦慮している。

2.5GHz帯は取れると確信している

 とはいえ、これまで2.5GHz帯に対しては積極的な動きを見せていなかったソフトバンクが、一転して、獲得に意欲を燃やしている。

 「2.5GHz帯は、都心部では3Gの補完システムとしても機能するし、半固定ネットワークの用途にも使える。ソフトバンクモバイルとしては、NTTドコモのスーパー3G、KDDIのEV-DO Rev.Cに匹敵するシステムを構築していきたいと考えている。現在PDCで利用している1.5GHz帯を巻き取れる(別の通信方式でも利用できる)のは2011年以降になってしまうので、2009年以降を戦うには2.5GHzが絶対に必要だ。次世代の通信システムを導入しようにも、空いている周波数がないからだ。国が携帯電話業界に公平な競争関係を作りたいと考えているのであれば、(現状、所有する周波数が少ない)うちの会社に周波数を割り当てて欲しい。2.5GHz帯は、きちんと事業計画を評価した上で割り当てが決まると思うので、取れると確信している」(松本氏)

「MediaFLO」も事業化へ向けて歩みを進める

 2.5GHzとともに、行方が注目されている700MHz帯の再編にも、ソフトバンクモバイルは積極的にアピールしていく。

 現在、アナログテレビ用として利用されている700MHz帯は、2011年のアナログ停波の後に整理されることから、さまざまな事業者が新たなサービスを始めようと計画を練っている(2006年11月の記事参照)。クアルコムジャパンもその1つ。米QUALCOMMは、アメリカで「MediaFLO」と呼ばれる多チャンネルの動画コンテンツ配信サービスを手がけており、これを日本でも導入しようと準備を進めている。すでにKDDIとクアルコムジャパンの合弁で企画会社が設立されているほか、ソフトバンクモバイルでも企画会社を設立。事業会社の設立も視野に入れているという。

 「MediaFLOは、周波数が整理される2011年から始めるという選択肢もあるが、さすがに5年も待つことはできない。できれば、2008年中にも始めたいと思う。700MHz帯はいたるところに電波の空き地があるので、そこを利用させてもらいたい」(松本氏)

 700MHz帯には、地域によって所々に使われていない帯域があり、松本副氏としてはその空き地を一時的に借りることで利用させてもらいたいと考えている(2006年5月の記事参照)。それが可能であれば、すぐにでもMediaFLOのサービスを開始し、周波数が整理される2011年には新しい周波数帯域にすべて引っ越すという考えを持っている。

 「電波は国民の財産であるだけに、有効活用していくべき。空いている周波数を貸し出すというのは前代未聞のことではあるが、総務省には是非ともまったく前例のないことに取り組んで欲しい」(松本氏)


 NTTドコモやKDDIと対等な戦いを挑むには、新たな周波数が必要と唱える松本氏。同社の孫正義社長が掲げる「10年後には1番になる」と公約も、この周波数の行方が大きなカギを握りそうだ。

前のページへ 1|2       

[石川温,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.