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「Business au!」で挑む新たな成長市場──KDDIに聞く法人市場戦略 (2/2)

2007年03月06日 11時15分 更新
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音声定額を強化するのか

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 ところで昨年、法人市場で注目されたのが同一キャリア内の通話料を無料にする「音声定額サービス」である。この分野はウィルコムやソフトバンクモバイルが先行しており、特にコスト意識の高い中小企業に支持されている。KDDIでは社員同士の通話に限り通話料が定額になる「ビジネス通話定額」を用意しているが、その定額料は1回線あたり9300円/月(割引なしの場合)であり、ウィルコムやソフトバンクモバイルの音声定額に比べて、基本料や適用条件の部分で見劣りするのは否めない。この点についてKDDIでは、どのように考えているのだろうか。

 「音声定額を求める声は確かにお客様の中にはありますが、そこはバランスなんですよね。(ウィルコムやソフトバンクモバイルなど)他社の場合はエリアの問題などがあります。音声定額サービスを導入している競合他社の影響が皆無とは言いませんが、今のところauは総合力の高さで十分に優位性があると考えています」(山本氏)

法人営業体制を段階的に強化し、競争力を高める

 KDDIの法人市場への取り組みはかなり実を結んできており、特に全国規模の大手・中堅企業への導入では、この分野で強いドコモと対等以上の競争をする状況になっている。しかし、その一方で、営業体制の規模の上では、KDDIはいまだ最大手のドコモに及ばない。これは同社が、法人向けサービスの商品おいて付加価値やクオリティを重視し、直販部隊を中心にしているからだ。

 「現在の法人営業体制は、東京に4つのモバイルソリューション部門があり、あとは全国7カ所のKDDI支社が営業活動をしています。また一部の大手販売代理店にもご協力をいただいています。しかし、我々は大口のお客様への直販から(法人市場に)入ってきましたので、今のところ直販が主流です」(山本氏)

 KDDI以外の法人営業体制に目を向けると、ドコモは各地域会社のほかに、ドコモショップを経営する有力な販売会社にも法人営業部門が設置されている。またソフトバンクモバイルもホワイトプラン投入と前後して、旧日本テレコムの営業部門や提携販売会社が法人市場の営業にあたっているようだ。

 「我々は3年前から(大口の)モバイルソリューションにフォーカスしてきましたが、次第に裾野が広がり、今後は中小規模の法人市場も重要になってきます。今後は代理店の販売比率が高くなるでしょうから、auショップと連携することも考えられるでしょう」(山本氏)

今後は中小企業を重視──ただし付加価値・品質重視は変えない

 法人市場はまさに今、拡大し始めた市場であり、今後の裾野の拡大が期待されている。その中で注目なのが、企業数で日本の9割以上、雇用数で7割以上を占めると言われる中小企業の取り込みだ。この分野では小規模契約からコストメリットが得られるウィルコムやソフトバンクモバイルが強く、ドコモやKDDIは手をつけきれていないのが現状である。

 「我々も今後の成長に中小口の法人市場は重要だと考えています。ですから、今まさに(中小企業向けの)戦略・戦術を練っているところです。

 中小口の法人市場では料金が重要だと考えられがちですが、料金だけで(競争優位性が)決まるわけではない。また法人市場はこれから開拓する市場ですから、単純な価格競争はしたくありません。それ(価格競争)は我々にとっても、お客様にとってもよい事ではないと考えています。中小口の法人企業にとっても(単純な安さではなく)魅力的なソリューションや付加価値を提供していきたい」(山本氏)

 KDDIは法人市場に非常に力を入れているが、それは音声通話の安さを軸に契約数を多く取ればいい、という考えではない。大口から中小口まで、企業の規模や業種、ニーズにあわせた“生産性向上のツール”を提供するスタンスで、新たな法人市場の開拓に挑む。

 「我々の優位性は、直販ならではのソリューション営業が可能なところにあります。モバイルソリューションの導入ではシステムエンジニアが計画に携わり、お客様と一体になって最適な提案ができる体制を整えています。この提案力には自信があります。

 さらにKDDI(のau)が、BREWやGPS、さまざまなセキュリティ機能で、基本性能が高いのも強みですね。今後もBusiness au!は総合力で勝負していきたい」(山本氏)

 コンシューマー市場において、短期間で高いブランド力と顧客満足度を実現したau。その成功のシナリオがBusiness au!でも書けるかどうか。来年度、KDDIの法人市場への挑戦は注目といえるだろう。

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