“ロボット大国”日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(5/7 ページ)

» 2015年08月27日 09時00分 公開

 1つは、技術障壁だ。

 ISの保有特許は多岐にわたり、170を超える。それらの特許は米国での先願権を使い、日欧中台韓でファミリー特許として世界中で強固に防衛されている。

 2つ目は、医療業界の障壁だ。

 日本の医療業界には、特有の慣習が多い。手術支援ロボットのような体内に入る医療機器の許認可は「クラスIV」という最も取得難易度が高いものだ。複雑で長期の審査が必要になり、メーカーにとってはいつまでたっても投資を回収できない問題もある。

 医療機器やサービスの営業スタイルも独特だ。MR(Medical Representative)による接待や出待ちなど、合理的な営業ができていないことも、一般メーカーにとっては大きな障壁となっている。

 3つめは、日本のメーカーの意識だ。

 消費財やエレクトロニクス製品のブランドイメージを大切にする日本のメーカーは、リスク回避に走りがちだ。医療機器のように“人の命にかかわる事故”が起きる可能性がある分野への参入には、極めて消極的だ。

下がりつつある参入障壁 日本企業に再参入のチャンスも

 だが現在、これら参入障壁は徐々に低くなりつつある。

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