“ロボット大国”日本は、なぜ「手術支援ロボット」市場で勝てないのか消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(6/7 ページ)

» 2015年08月27日 09時00分 公開

 第一に、ISが保有している特許の存続期間は2015年から終了していく。まず基幹となるワイヤー関連技術に関する特許が切れ、徐々に周辺特許も切れていく。

 世の中の考え方も変わってきている。今年1月、トヨタ自動車がFCV(燃料電池車)関連の特許実施権を期限付きで無償提供すると発表したように、特許をオープン化し、市場のパイを広げた方が最終的には得になるという発想が浸透しつつある。さらに、薬事の許認可も合理化が進んでいる。

 障壁の緩和に伴い、この市場に続々と新規参入する動きも生まれつつある。

 今年3月には、米Googleが米Johnson & Johnsonと次世代手術支援ロボットの開発で提携した。ロボット技術やイメージング技術、データ解析技術を融合し、ダ・ヴィンチの牙城を崩すことを目指すという。

 日本のメーカーも黙ってはいない。オリンパスは6月、製品化を前提にした量産可能な2つの手術支援ロボットシステムを発表している。

photo オリンパスが発表した「消化器内視鏡治療支援システム」

 日本政府も、国産の医療機器開発の強化策として、手術支援ロボットや画像診断装置など5つの重点分野を定める方針を固めた。4月に発足した国立研究開発法人・日本医療研究開発機構を中心に、産学官の連携を強め、製品開発を急いでいる。

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