中小企業の人材育成は「社長が全て」ではない 重要なのは「経験のマネジメント」(1/2 ページ)

» 2015年11月09日 17時40分 公開
[ITmedia]

 「中小企業には人の可能性を伸ばす“経験マネジメント”が重要」──トーマツ イノベーションは11月9日、人材育成の専門家、中原淳准教授(東京大学)と共同で行った「中小企業の人材育成に関する調査研究」の結果を発表した。

 今年3〜5月に社員数20人以上の中小企業350社・2800人を対象にアンケート調査した結果を分析。「中小企業では社長の考え方や取り組み次第で全てが決まる」といった従来の“通説”は確認できず、「個人の勘と経験に基づく一意見に過ぎない可能性」があるとした上で、実際には人材にさまざまな経験を積ませる「経験のマネジメント」がポイントになると報告している。

 国内企業の99.7%を中小が占めているが、人材育成の定石的なメソッドは中小では実行できないものが多い。今回の調査は中小企業の人材育成を対象としたものとしては日本初といい、今後さらに研究を進めるほか、成果をもとにした人材育成サービスを開発するという。

人材育成の“通説”は間違っていた

 中小企業では社長と社員の距離が近いことから、人材育成も「社長の考え方や取り組み次第で全てが決まる」と考えられがち。だが研究結果によると、実際には若手・中堅社員の能力向上や成果と「社長のリーダーシップ」には相関がないことが明らかになったという。

 社内勉強会や研修も「若手・中堅社員が期待通りの成果を上げる」ことと相関がなかった。

photo 若手・中堅社員の「能力向上」や「成果」と「社長のリーダーシップ」に相関はない
photo 「社内勉強会や研修を実施する」ことと「若手・中堅社員が期待通りの成果をあげる」ことに相関はない
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