日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
TSUTAYA図書館に対する「排除ムード」がいよいよ全国的に広まってきている(参照記事)。
住民投票でNOをつきつけられた愛知県小牧市に続いて、今度は山口県周南市で、TSUTAYA図書館の是非を問う住民投票をやるべきだという話が持ち上がったのだ。
周南市にはすでに5つの市立図書館があるが、それとは別にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)と連携して企画された新図書館の計画があり、それに「県オンブズマン市民会議」という市民団体が「そんな税金があるのなら、今ある図書館へまわせ」という至極もっともな正論をぶちまけて、11月4日には計画の是非を問う住民投票を行うための署名集めを開始すると公表したのだ。
こういう「反TSUTAYA」の動きが活性化している最大の要因は、CCCが運営に関わる武雄市図書館や海老名市立中央図書館の「選書問題」だ。タイの風俗情報が記載された本や、10年前の資格試験対策本など明らかに公立図書館にそぐわない選書が指摘されただけではなく、それが関連会社の古書店を通じて行われていることで「図書館を利用して在庫処分してるんじゃないの」なんて疑惑まで持ち上がっているのだ。
呆れるほど杜撰(ずさん)な選書は、批判されてしかるべきではあるし、反対される市民の方たちの不信感もよく分かるのだが、あくまで野次馬的に一連の報道論調を眺めていると、どうにもしっくりこない違和感を覚える。
TSUTAYAに対して、かなり強いバイアスのかかった「ネガ情報」が横行しているからだ。
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