世界は“報復”するのか? 「13日の金曜日」に虎の尾を踏んだイスラム国世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)

» 2015年11月17日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


 11月13日に発生したフランス史上最悪と言われる同時多発テロ攻撃は、パリ市内の7カ所で8人のテロリストによって実行され、少なくとも127人が死亡する事態となった。そして予想通り、イラクとシリアを中心に暗躍する過激派組織イスラム国(IS)が犯行声明を出した。

 声明でイスラム国はフランスがこれからも主要な標的であり続けると宣言。一方、フランスのフランソワ・オランド大統領は今回のテロが「戦争行為」であり、「容赦ない」対処をすると語り、イスラム国への報復をほのめかした。

 今回のテロは、イスラム国をめぐる現状を一変させる「ゲームチェンジャー」だと指摘する声が聞かれる。つまり、シリア情勢からイスラム国の動向、そして同組織と戦う国々にとって、テロが襲った11月13日の金曜日は、歴史的な転換点になる可能性がある。

 まず今回のテロではっきりしたことがある。国際テロ組織アルカイダが衰退した今、世界で最も残酷な過激派であるイスラム国が国際舞台での存在感を着実に高めていることだ。昨年末からサウジアラビアやトルコ、リビアやエジプトなどで同組織に絡むテロ事件が何件も発生し、最近では10月31日にエジプトのシナイ半島でロシア旅客機を墜落させ、レバノンでも11月12日に自爆テロで44人を死亡させた。

フランスのオランド大統領は今回のテロが「戦争行為」だと断言した(出典:大統領府公式サイト
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