「なぜ今、宇宙に“張る”のか」 日本の著名投資家が語る宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)

» 2015年11月20日 12時55分 公開
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より多くのヒト・モノ・カネを宇宙ベンチャーに流し込む

 グローバル・ブレインでベンチャーパートナーを務める青木氏は、元々は三菱電機の宇宙エンジニアであり、宇宙分野出身の唯一のベンチャーキャピタリストだ。

 リードインベスターとしてアクセルスペースへの18億円の資金調達をまとめたが、その過程では「多くの投資家候補とのミーティングを重ねて、少しずつ理解を得て話をまとめてきた。宇宙はネットに比べて時間がかかり、また投資の桁も違う。その分インパクトが非常に大きい。そうした違いを理解し、長期的に見ていくことが必要」と話す。

 他方、産業全体としては「ベンチャーキャピタル投資に加えて、日本でより大きな資金を集めるには大企業の力を借りる必要がある。宇宙関連企業や非宇宙企業からより多くのヒト・モノ・カネが宇宙ベンチャーに流れ込むようにしたい。アクセルスペースの資金調達では、ベンチャーキャピタルだけではなく、今後の事業展開を見据えて、大手事業会社が投資家として参加していることが画期的だ」と考えを示す。

 筆者自身、投資家の方々の声を聴いて、改めて宇宙ビジネスのパラダイムシフトや宇宙ベンチャーの挑戦が今まさに進んでいることを感じた。将来大きな花となるには、ヒト・モノ・カネが集積するためのエコシステム形成に加えて、誰もが分かる成功例が期待される。米国ではSpaceXの成功が起業家たちに大きな刺激を与え、GoogleによるSkybox Imaging買収が投資家に1つの出口を示したと言われている。

 エンジェル投資家やベンチャーキャピタルが投資を始めた日本の宇宙ベンチャー業界。今後のさらなる発展に期待したい。

著者プロフィール

石田 真康(MASAYASU ISHIDA)

A.T. カーニー株式会社 プリンシパル

ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。民間宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2015」企画委員会代表。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。

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