おでんの「大根」が一番おいしいのは? ローソンがとにかく面白い新連載・ノッている会社は、ここまでやっている!(3/6 ページ)

» 2015年12月11日 08時00分 公開
[上阪徹ITmedia]

ローソンのスイーツ戦略

 新たな層の集客、そしてコンビニの陳列棚を変えてしまったといえば、ローソンのスイーツ戦略がある。今やどのコンビニでも、所狭しとスイーツが並んでいるが、実は5年前にはこんな光景はなかった。それを一変させたのが、ローソンが2009年に発売し、爆発的なヒットで大きなブームを巻き起こした「プレミアムロールケーキ」なのだ。

 もともとコンビニのスイーツは、男性向けに作られていた。安くてボリュームの大きなもの。背景にあったのは、コンビニの主要顧客が若い男性だったことだ。しかし、ローソンは、ここで逆転の発想をした。元来、スイーツ好きなのは、果たして誰なのか。女性向けのマーケットのほうが、圧倒的に大きいのではないか、と。

 調査をしてみると、デザート好きだけれど、コンビニでは買わないという女性たちがたくさんいた。まさに20〜30代の女性だった。では、なぜ彼女たちは買わなかったのか。徹底的にリサーチを押し進めると、あるキーワードが浮かび上がった。「生クリームがおいしくない」。百貨店や専門店のスイーツを食べ慣れている女性ならではの声だった。

 実際、コンビニのスイーツは量を意識し、コストを下げようとクリームは油脂メーカーの植物性脂肪のホイップクリームを使うのが、常識だった。ところが専門店では、コストは約3倍の乳業メーカーの生クリームを使っていた。この差に、スイーツの味に敏感な女性たちは気が付いていたのだ。

 コストはもちろん高くなる。だから値段は少し上がる。コンビニのスイーツとしてはちょっと高いが、専門店のデザートよりは安い、という新しいゾーンが作れるとローソンは考えた。これが、見事に的中する。その最初の商品が、「プレミアムロールケーキ」だったのだ。そのために、コンビニ仕様の生クリームをゼロから開発した。

生クリームをゼロから開発した「プレミアムロールケーキ」

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