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2016年、世界中が注目! フィンテック企業「トランスファーワイズ」とは世界を読み解くニュース・サロン(特別編)(2/6 ページ)

» 2016年01月02日 08時28分 公開
[山田敏弘ITmedia]

フィンテックは世界を変える

 フィンテックは世界をどう変えてしまうのか。

 最近ではネット上で「フィンテック」と検索するといろいろな情報が集められるようになった。ただそうした情報も、ITや金融に近くない人たちにはちょっと分かりにくい。フィンテックは、一般人の日常も変えてしまう可能性すらあるものなのだ。

 フィンテックは、インターネットやスマートフォンなどで、新しい情報通信テクノロジーを使って既存の金融サービスを改善したり、まったく新しいサービスを生み出す分野、と定義される。フィンテック企業は、例えばインターネットやスマホでの支払いシステムや為替、クラウドファンディング、資産管理サービスなどを提供する。また、資産運用を行うフィナンシャル・アドバイザーやプランナーとなってくれるアプリや、銀行を介さない個人間の融資を行うサービスもある。これまで銀行などが牛耳ってきたこうしたサービスを提供するスタートアップ(新興企業)が数多く登場しており、既存の銀行や金融サービス企業としのぎをけずっている。

 フィンテックのスタートアップは現在、米国と英国だけで少なくとも4000社にも上る。アジアだけを見ても2500社以上、存在すると言われている。そして将来的な成長を見込んで、こうした企業にどんどん投資が集まっており、2014年に124億ドル(1兆4983億円)だったフィンテック企業への投資総額は、2015年、6月までの半年間で前年の総額と同じ124億ドル近くなり、前年の倍になる勢いだ。この傾向は2016年も続き、投資先も米英にとどまらず、シンガポールやシドニー、イスラエルから北欧、そしてバルト海沿岸諸国まで世界各地に広がっていくと見込まれている。

 そんなフィンテック企業の中で、象徴的な存在の企業として注目されている企業がある。「TransferWise(トランスファーワイズ)」という国際送金サービスの企業だ。2011年に2人のエストニア人によって、フィンテックが盛り上がっている英国で設立された同社は、約5年間で送受金実績は45億ドル(5405億円)に達した。

フィンテック企業の中で「TransferWise(トランスファーワイズ)」が注目されている(出典:TransferWise 2015)

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