新春トレンドカレンダー:どうなる? 日本の未来 〜今年のトレンドはこう動く〜

コンビニのオムニチャネルは定着するのかコンビニ探偵! 調査報告書(3/3 ページ)

» 2016年01月13日 07時10分 公開
[川乃もりやITmedia]
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課題解決が急務

 ここまで読むと「オムニチャネルが進めば未来はハッピー!」と思われたかもしれないが、実は課題が山積みなのである。

 まず、在庫の不一致だ。バーチャル店舗を運営するには、バーチャル店舗の商品在庫と実店舗の商品在庫が一致していなければならない。ところが、現状は納品時の検品もれやレジの打ち間違い、万引き、店内の不正などにより、在庫のアンマッチがなくならない。大量に在庫を抱えるような商品なら大きな問題にはならなが、日用品のような普段から在庫の少ない商品には致命傷である。

 また、来店したお客さんが買い物カゴに入れた商品も、レジを通すまでは在庫数には反映されないという、タイムラグも発生する。

 配達の問題も拭い切れない。誰が配達するのか。店舗側が行う場合、人員配置はどうするのか。あるいは、配達の専門部署を持つのか。料金はどうするのか――。

 現状のオムニ7に、そこまでの環境はまだない。食料品から日用品まで取り扱っているが、商品は限定されている。また、配達時間の指定も昼と夕方の2回のみ。以前「コンビニのデリバリーが、なかなか浸透しないワケ」という記事を書いたが、その中でコンビニデリバリーの最大の問題点として、「配達のリアルタイム性を指摘した。配達が1日に1〜2回では、コンビニ配達が浸透しているとは到底いえない。というより、もはやそれは“コンビニ”ではない。

 コンビニの最大のセールスポイントは、いつでも商品を手に取れることにある。オムニチャネル化が進んだとしても、商品アイテムや手にする時間に制限があっては、それは現状の通販となんら変わりないと言える。


 配達の課題を解消してくれるのではないか――。と、現在、注目されているのがドローンだ。米通販大手のアマゾンはドローン配達を始めようとしている。日本においても、千葉県の幕張新都心のほか、広島県、愛媛県今治市、北九州市なども特区として参入する予定だ。コンビニからドローンを使っての配達が可能になれば、人件費と配達タイムラグの問題が解決する。ドローン配達については、今後も期待を持って見守りたいところだ

 2016年は、オムニチャネルの“環境整備元年”になるのではないだろうか。

著者プロフィール・川乃もりや:

 元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿


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