メンタルヘルス特集

上司との良質な対話がストレスをなくす? ヤフーが本気で取り組む1on1プロジェクトとは(3/4 ページ)

» 2016年01月27日 08時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

部下の明日の行動を変えるコーチングとは?

 1on1に取り入れたコーチングとは何か。小向氏は次のように説明する。

 「例えば、失敗した部下に『失敗するな! 気を付けろよ!』と言っただけでは、何も解決しません。失敗の原因を追求し、『もう一度やるならどのようにする?』と問い掛けることで、次にどうすべきかを本人に考えさせる。そして考えた結果を次の行動につなげるのが、このコーチングの目的になります。行動の1つ1つを振り返り、より良い結果を出すために“自分の頭で考えさせる”フォローが必要なのです」(小向氏)

 このようにコーチングでは、部下が手掛けた仕事が「なぜうまくいったのか」「なぜうまくいかなかったのか」あるいは、「なぜそのような行動を取ったのか」を聞き出すことで結果に対する原因を概念化し、可視化する。それを繰り返すことで部下の成長を加速させていくのだ。

 1on1を質の高いものにするために、管理職全員にコーチングスキルを身に付けるための社内研修を義務付けているのもポイントだ。さらに、その管理職の中から100人をピックアップし、外部講師による研修を受けさせることで、さらに高いスキルを持つ「社内コーチ」を育成している。

 コーチングが苦手な上司はこの社内コーチからアドバイスをもらうことができるようになっている。また、直属の上司とうまくいっていない他の部署の社員をケアすることもあり、横のつながりの強化に役立っているという。

 1on1はまた、悩んでいることを相談できる場でもあるため、それがストレス軽減にもつながっているという。

 「定期的なコミュニケーション(フォロー)の場があると分かれば、安心感が生まれます。部下は仕事に対する気持ちの持ち方、考え方が前向きに変わり、心に余裕をもって仕事に挑むことができるのです」(小向氏)

 また、この1on1の取り組みをきちんと実践してもらうために、上司の1on1に対する評価を部下がアンケートを通して答える仕組みを作っている。「1on1を実施しているか」「きちんと耳を傾けているか」「新しい気付きはあったのか」などの項目に点数をつけていくのだ。

 こうした取り組みによって現在、定期的な1on1の実施率は9割以上になっているという。

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