日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」を紐解いていきたい。
今月に発表される2015年10月〜12月のGDP予測がマイナス成長になる見込みが高いという報道があった。
昨年6月あたりから続く景気の低迷は、増税の影響がボディブローのようにじわじわと効いてきているのは明らかだが、それに拍車をかけているのが、「大人たちの消費マインドの冷え込み」だ。
2015年12月の消費者態度指数を見ると、39歳までの世代はアベノミクスがスタートした時点の水準へ回復しつつあるものの、40歳以上になると途端に冷え込んでいく。なかでも顕著なのが60歳以上だ。
2013年5月には60〜69歳が45.1、70歳以上が44.1と現在の30代にも匹敵する高い数値だったにもかかわらず、2015年12月になると60歳以上40.2、70歳以上40.3とガッツリ落ち込んでいるのだ。
ご存じのようにこの層は人口的にも一大勢力となっており、日本の消費の4割を占める。ここの財布のヒモが固くなれば、景気への悪影響は計り知れない。
年金支給額が実質目減りしているからしょうがない部分もあるのだが、40〜50代までも「守り」に入っているというのは、この1〜2年の間に彼らを怯(おび)えさせる、大きな「社会不安」があらわれたことを示している。
そこで思い浮かぶのが、一昨年あたりからメディアを賑(にぎ)わす「老後破産」や「下流老人」だ。
昨年末の『あさイチ』(NHK)で、「老後破産を防ぐには」という特集が組まれた。週刊誌でも、「がん」「健康」とともに今や以下のような「鉄板ネタ」となっている。
シリーズ貧困老後:大好評 増える非正規、高齢化する「ひきこもり」 老後を襲う「親子共倒れ」破産(サンデー毎日2015年12月6日)
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