高崎: トラスネジもはずせるようになって、ネジザウルスの守備範囲が増えたんですよね。また、バネを付けたことで連続作業でも手が疲れにくくしたり、カッターの刃のように電線を切断する機能も追加したり。結果、当初の期待以上に売れ、2009年の販売数は7カ月で7万2000丁に達しました。
4代目は初代ネジザウルスを上回る大ヒット商品になりました。また、低迷していた3機種も再び勢いを取り戻して、4代目の発売から3年後、シリーズ累計販売数は100万丁を突破しました。
土肥: おおー。もう一度お聞きしますが、アンケート結果でわずか7人の声を商品に反映された。なぜ、そこまでこだわったのでしょうか?
高崎: お客さんの声を聞くのはものすごく大切なので、7人の声を無視することはできませんでした。ただ、それだけだと“落とし穴”にはまるかもしれません。
土肥: どういう意味でしょうか。お客さんの声を聞いているだけだと、落とし穴にはまるかもって……。
高崎: アンケートを実施して、1位は「グリップを握りやすくしてほしい」でした。でも、こうした声ってライバルメーカーにも同じようなことを言っている可能性が高いんですよ。使ってみて不満に感じた声は出てくるのですが、「こんな機能があったらいいのになあ」という声はなかなか出てこないんですよね。
そのような傾向があるので、1位の「グリップを握りやすくしてほしい」は、ライバルメーカーにも届いている可能性が高い。じゃあ、どうしたらいいのか。少数意見を吸い上げることが大切なんですよ。
繰り返しになりますが、お客さんの声を聞くのはものすごく大切。ですが、似たり寄ったりの声が多いのも事実。潜在的な少数意見を吸い上げて、商品が抱えている課題を解決することも重要なのではないでしょうか。
ただ、お客さんの声をすべて反映しても、競争力のある商品はなかなか生まれません。やはり、社内の開発現場の声も絶対に無視できません。現場で働く者も、当然工具が好き。常に「こんなモノがあればいいなあ」と考えながら仕事をしているので、いいアイデアをたくさんもっているんですよね。お客さんの声と現場の開発者の声がうまく融合することで、いい商品が生まれる可能性が高くなるのではないでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング