地域の交通手段としては、地域の人々が集客ターゲットとなる。しかし、食事付きの観光列車となれば、「肥薩おれんじ食堂」「伊予灘ものがたり」などもライバルだ。いわば全国区の競争に勝利するためには、強い個性が必要だ。
「内装面では、座席にはテーブルとヘッドレストを装着、また車内には漁に使用する網などの飾り付けを行って、演出効果を盛り上げる予定です。列車としての魅力は何と言っても食事でしょう。その食材の源でもある津軽海峡と、遠望できる函館山、そして漁の季節になれば海峡に浮かぶ漁り火を眺められます」(瀬端氏)
その景色を楽しむためのダイヤ編成も、日本旅行が今まで各鉄道会社と連携してきたノウハウが生きる。景勝区間の徐行はもちろんのこと、列車交換で停車する信号場も海が見えるところに停車させるなどの工夫をする。
メインとなる食事については、観光車両の趣旨に合わせて「道南の魅力発信」がコンセプトになった。往路の函館発車段階は夕食には早い。そこでティータイムのイメージで地元ならではのスイーツを提供する。復路の木古内からはディナーコースの始まり。まずは前菜的意味合いも込めてイタリアンと和食を融合させた品を用意。北斗市に入ってからメインとなる料理。道南を訪れるの期待に応えて、海鮮料理を中心とした豪快なバーベキューを楽しむ。ごちそうの匂いのまっただ中に列車が入っていく。
「この内容に至るまでには、何度も地元の方を交えた打ち合わせを行っています。また道庁からもアドバイスをいただき、3市町の魅力を打ち出しつつも、もちろんお客さまからの道南に対する期待に応えるように企画しました。もちろん地産地消です。基本的な食材は各市町内でそろえます」(瀬端氏)
特別な景色、特別な食事、特別なダイヤ。観光列車に必要な要素がそろった。
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