日本ハムが“ハンカチ王子”を「クビ」にしない理由赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年04月27日 07時07分 公開
[臼北信行ITmedia]

究極のプラス思考で前に進む

 斎藤は、今年6月で28歳を迎える。もし今後、安定して結果を残し始めるとすれば俗に言う「遅咲き」だ。日本プロ野球界において、遅咲きの投手は過去何人かいる。近年でいえば、チームメートの日本ハムの吉川光夫もその1人に挙げられるだろう。

 奇しくも斎藤と同学年だが、プロ入りは吉川のほうが4年早い。広陵高校から2011年のドラフト1位で入団したが、プロ5年目の2011年シーズンまでは3年連続白星なしでルーキーイヤーの4勝がマックス。しかし翌2012年に14勝、防御率1.71で初タイトルも獲得し、プロ6年目にして長いトンネルを抜け出してブレイクした。

 吉川のように高卒入団ではなく、社会人からのプロ入りで即戦力クラスと言われながらも才能を完全開花させるまで時間がかかった投手もいる。阪神のベテラン左腕・能見篤史は2004年ドラフトの自由獲得枠で大阪ガスから入団したものの、2008年までシーズン最多は4勝止まり。しかし30歳を迎えたプロ5年目の2009年シーズンに、13勝(防御率2点台)をマークし才能を開花させた。

 斎藤は残念ながら吉川や能見のように「これぞ」という何か1つの武器を持っているわけでもなく、常に抜群の制球力を発揮するタイプでもない。しかし過去にも当記事で書いたが、自分の置かれた状況を冷静に見極め、たとえ窮地に追い込まれても単に落ち込むのではなく究極のプラス思考で前に進もうとすることができる選手だ(関連記事)。いい意味で「スーパーKY」と評してもいいかもしれない。これに同調するように斎藤を入団当時から知る球団関係者も次のように「佑ちゃん」に対する本心を打ち明けた。

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