猪突猛進だけでなく決めるときは決める。今年3月14日(同15日)に本拠地キング・パワー・スタジアムで行われたニューカッスル・ユナイテッド戦。前半25分に、ホームでの初ゴールを鮮やかなオーバーヘッドで決めた。しかも、これが貴重な決勝ゴール。この岡崎の芸術弾がイギリス公共放送局「BBC」など世界中のメディアで配信され、大絶賛されたことはサッカーファンならずとも記憶に新しいところだろう。
「試合では途中交代も多く、サッカープレーヤーとしては悔しい毎日でしかない。ただ喜んでいるだけでは自分の成長などない」
このコメントが示すように新天地レスターで栄光をつかんでも岡崎には「妥協」の2文字など一切ない。人間的にとても生真面目なところが実によく現れているといえよう。それこそがすさまじい運動量を駆使しながらの献身的なプレースタイルにもつながり、ラニエリ監督や他のチームメートたちからの信頼を得ているのである。
しかも岡崎はすぐに人から愛される。「シンジはピッチを離れると、いつもスマイルを絶やさない。決して完ぺきな英語を話せるわけではないけれど、意思の疎通は十分にできるよ。彼は心がきれいだから、いま何を考えてこれから何をやろうとしているかが分かるんだ。あんな素晴らしいタイプのプレーヤー、いや男は世界を見渡してもなかなかいるものではない。心からリスペクトしているよ」とはともに2トップを組むヴァーディの岡崎評だ。
実を言えばヴァーディには昨年7月26日(同27日)にイギリス国内のカジノで日本人に対して人種差別的発言をしていた事実が、一部の英メディアの報道によって発覚したことがあった。これは当時大きな騒動になりヴァーディは公の場で謝罪。入団してまだ約1カ月の岡崎との間に軋轢(あつれき)が生じることも懸念されたが「シンジは何もなかったように自分と普通に接してくれている。本当に寛大で心が広いと思う」(ヴァーディ)。
世界中が驚く「ジャイアント・キリング」を弱小チームだったレスターの一員として成し遂げた岡崎。日本代表、そしてプレミアリーグでも不動のFWとなるために、これからもひたすらピッチを突っ走る。
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