東京産のチョコはいかが? 平塚製菓の面白い試み(2/3 ページ)

» 2016年05月06日 08時00分 公開
[ITmedia]

試行錯誤の末、カカオ栽培に成功

 平塚製菓のプロジェクトメンバーと折田一夫さんは議論を重ね、「大規模な農地を整備しよう」という話になったが、島には農地を整備する重機がなかった。そのため本土から28時間ほどかけて、重機を輸送することに。また、普通のビニールハウスでは風で飛ばされたり、塩害を被ったりしてしまうので、特注のハウスを設置しなければいけない。そのためハウスの資材なども本土から輸送した。こうして、2011年8月にハウスの1号棟が完成。翌年4月に栽培がスタートしたのだ。

 「ビニールハウスを建てるのはものすごく大変でした。母島には、大規模な工事を手掛ける建設業者はありません。重機や資材などを輸送することも大変だったのですが、なにからなにまでゼロから始めることが難しかったですね」(入江さん)

カカオを栽培するのにビニールハウスを設置した

 カカオの木は年間5000個の花を咲かせるが、そのうち実になるのは50〜70個ほど。ラグビーボールのようなカカオの実「カカオポッド」ができるまでに、どのような苦労があったのだろうか。「雑草が生い茂っている斜面の土地を整地化して、そこにビールハウスを建てました。水はけがよい土地でなければカカオはうまく育たないので、空気を含ませることから始めました」

 土の中に空気を入れたり、ビニールハウス内にカーテンを設置して日陰ができるようにしたり、さまざまな試行錯誤の結果、2013年にカカオの実ができた。そして、2015年3月に母島で収穫されたカカオを使ってチョコレートを試作した。「社内からは『本当にチョコ―レートの味がするの?』といった声が多かったですね。でも、ちゃんとチョコレートの味がしたんですよ。『東京ブランドのチョコレートをつくろう』と言ってから、13年もかかりました」(入江さん)

母島で収穫されたカカオ豆

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