空き家を放置すると、どのような事態がおきるのか?マネーの達人(4/4 ページ)

» 2016年05月17日 06時30分 公開
[桐山一人マネーの達人]
マネーの達人
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総住宅数、空き家数および空き家率の実績と予測結果

 野村総合研究所(以下、野村総研)は、2018年、2023年、2028年、2033年における日本の総住宅数・空き家数・空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)の予測結果を発表しました。

 それによると、住宅の除却・減築などが進まない場合、2033年の空き家数は約2150万戸へ増加すると見込んでいます。

 国土交通省の2014年度「住宅着工統計」によると、2014年度の新設住宅着工戸数は88万戸と、5年ぶりに減少に転じました。野村総研の予測では、新設住宅着工戸数は2030年度までに53万戸に減少すると試算しています。

 ただし、新設住宅着工戸数が減少してもそれを上回る速さで世帯数の減少が見込まれるため、既存住宅の除却や住宅用途以外への有効活用が進まない場合、2033年の総住宅数は約7100万戸へと増加し、空き家数は約2150万戸、空き家率は30.2%に上昇すると予想しています。

 2033年の空き家数と空き家率の予測数字は、ともに2013年の実績値(約820万戸、13.5%)の2倍以上になります。同社は、空き家数の拡大は住環境の悪化や行政コストの増大など、さまざまな問題が生じる可能性があると指摘しています。

 その上で、増大を抑制するためには、人口減少対策や中古住宅流通市場の整備、コンパクトシティの実現などを進めていく必要があるとともに、住宅の新築に対して一定の制限をかけるといった住宅政策の検討も求められようとしている現況です。(桐山一人)

著者プロフィール:

桐山一人

株式会社ノマド・グローバル 代表取締役

健康で活き活きと過ごす人生、世界を視野に入れたグローバル・ライフ「ノマド・ライフ」を提唱し、若年層を中心に多くの人々の共感と支持を得る。「若い人こそ、お金の無い人こそ、海外に目を向けた資産形成を検討すべし」と若年層を中心の資産運用のコンサルティングを得意とする。

年間のうち100日以上を海外で過ごす自他ともに認める「Nomad」自由人である。ファイナンシャルプランナー・中小企業診断士・ロングステイアドバイザーの資格を持つ。


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