国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
北海道日本ハムファイターズの21歳・大谷翔平投手が世を席巻した。6月5日に東京ドームで行われた交流戦・巨人戦に「5番・投手」でスタメン出場。先発マウンドでは4回に日本最速を更新する163キロをマークし、6安打2失点の完投勝利で今季4勝目を飾った。打っても、この日で15試合連続安打となる3打数1安打1打点でチームの勝利に貢献。エース兼主力打者を務める“リアル二刀流”は、当初こそ世間から懐疑的な目を向けられながらもプロ4年目となった今季、着実に成果を出しつつある。
二兎を追うものは一兎も得ず――。このように多くのプロ野球大物OBや現役選手、有識者らが大谷の二刀流挑戦を疑問視していた中、必ずや投手でも打者でも超一流になれると確信していたのが他ならぬ栗山英樹監督である。大谷の二刀流挑戦は、この指揮官のバックアップと理解がなければ絶対に果たせなかったことだ。
2012年秋のドラフト。メジャーリーグ挑戦を表明していた花巻東高校の大谷を日本ハムがドラフト1位で強行指名した。物議を醸しながらも大谷は指名あいさつに訪れた日本ハム・フロント陣と栗山監督から「夢への道しるべ」と題された30ページに及ぶ資料(高校卒業後に米ルーキーリーグからメジャーへ昇格することがいかに困難であるかについて韓国の選手を例にまとめ、NPBを経てメジャーで活躍した日本人選手についても触れられている)を手渡されると、一気に入団へグッと心を引き寄せられた。
さらに入団の決め手となったのは、投手と打者の「二刀流」育成プランを日本ハムフロント、そして栗山監督が用意していたことだった。大谷は当時の様子と自身の心境について、こう振り返っている。
「実を言えば『二刀流』ということをボク自身はまったく考えてはいなかったのですが、栗山監督に真剣な表情で『誰も歩いたことのない道を歩いてほしい』と言われたことが最終的に日本ハムさんにお世話になろうと思った決断の決め手となりました。メジャーリーグで長くプレーするためには最初から行ったほうがいいと思っていた考えが、あの入団直前にいただいた監督のひと言で大きく変わったのです」
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