2度死んだ観光車両、3度目の再生はあるのか?杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/3 ページ)

» 2016年06月10日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

走らなくても客室は使える

 ところで、福島県の会津鉄道の観光車両「AT-103」も6月5日の運行を最後に引退した。この車両も新潟鐵工所製の軽快気動車だ。1986年、会津鉄道が国鉄会津線を継承して開業したときに導入された車両だ。2000年にお座敷車両へ改造されて、16年にわたって観光列車「お座トロ展望列車」に組み込まれて走った。

会津鉄道の「AT-103」はAT-100形のお座敷改造車 会津鉄道の「AT-103」はAT-100形のお座敷改造車

 お座トロ展望列車は、お座敷車両とトロッコ車両、展望車両の3両編成だ。AT-103の廃車後は2両編成になる。ただし、展望車の室内をお座敷に改造して、お座トロ展望列車の名前は維持するという。

AT-103の車内を覗いてみた AT-103の車内を覗いてみた

 福島民友新聞によると、引退したAT-103は会津田島駅で保管される。会津鉄道は今後、イベントなどで活用したいようだ。畳替えなどの維持費はかかりそうだけど、座敷は靴を脱いでくつろげる。休憩設備として使いやすそうだ。

 振り返って、くま川鉄道がKUMA1、KUMA2をどのように処遇するかが気になる。一般型車両としては役目を終え、観光車両として2度目の死を迎える。このまま解体されてしまうか、それとも再生の機会はあるか。会津鉄道のAT-103のように、どこかの駅で休憩施設として再生できればいいと思うが、どうだろう。

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