ところで、福島県の会津鉄道の観光車両「AT-103」も6月5日の運行を最後に引退した。この車両も新潟鐵工所製の軽快気動車だ。1986年、会津鉄道が国鉄会津線を継承して開業したときに導入された車両だ。2000年にお座敷車両へ改造されて、16年にわたって観光列車「お座トロ展望列車」に組み込まれて走った。
会津鉄道の「AT-103」はAT-100形のお座敷改造車
お座トロ展望列車は、お座敷車両とトロッコ車両、展望車両の3両編成だ。AT-103の廃車後は2両編成になる。ただし、展望車の室内をお座敷に改造して、お座トロ展望列車の名前は維持するという。
AT-103の車内を覗いてみた
福島民友新聞によると、引退したAT-103は会津田島駅で保管される。会津鉄道は今後、イベントなどで活用したいようだ。畳替えなどの維持費はかかりそうだけど、座敷は靴を脱いでくつろげる。休憩設備として使いやすそうだ。
振り返って、くま川鉄道がKUMA1、KUMA2をどのように処遇するかが気になる。一般型車両としては役目を終え、観光車両として2度目の死を迎える。このまま解体されてしまうか、それとも再生の機会はあるか。会津鉄道のAT-103のように、どこかの駅で休憩施設として再生できればいいと思うが、どうだろう。
- 列車の車内販売を終わらせてはいけない理由
鳥取県の若桜鉄道で2016年5月から車内販売が始まった。山陰地方で唯一の車内販売だという。全国的に車内販売は縮小傾向にある中で、地方のローカル線やJR東日本の首都圏のグリーン車で車内販売を実施している。車内販売の廃止と開始、その違いは付帯サービスか付加価値か、という考え方の違いでもある。
- 豪華観光列車の成功に「青春18きっぷ」が必要な理由
旅行業、レジャー産業の価値観を理解すると、鉄道会社の若者への取り組みの重要度が理解できる。時間消費型の若者が成功して資金消費型、富裕層になる。そのとき、彼らの遊びの選択肢に列車旅の記憶がある。そこが重要だ。
- 道南いさりび鉄道の観光列車「ながまれ海峡号」勝利の方程式
北海道新幹線の開業と当時に、道南いさりび鉄道も開業する。並行在来線の江差線を継承する第3セクターだ。5月から運行を開始する観光列車「ながまれ海峡号」の予約も盛況という。この列車の仕掛け人に誕生の経緯を聞いた。
- 全国に大量発生の観光列車、ほとんどが「一代限り」か
鉄道は巨大な装置産業だ。線路にも駅にも車両にもお金がかかる。だから設備投資は計画的に、慎重に取り組まなくてはいけない。それでもやむを得ず設備が余る。実は、各地で誕生する観光列車は、余剰設備を活用するアイデアだ。それだけに寿命は短いかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.