1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
ローカル線廃止、夜行列車廃止に関する議論の中で、「鉄道会社の経営努力」が問われる。赤字の理由は利用者の減少というなら、企業側は利用者を増やす努力をしたか、という声が上がる。これらは毎度おなじみの炎上案件だ。
地域や路線ごとに事情が異なるから、すべて鉄道会社の努力不足とは断罪できない。しかし、車内販売については言える。廃止は機会損失だ。売る工夫をすればビジネスとして成立する。その工夫がない。もったいない。
例えば、寝台特急「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」だ。
夜行列車としては日本で最後の定期運行列車となった。2つの列車は岡山駅まで連結して走り、下りは東京発22時00分。サンライズ出雲は終着駅の出雲市に09時58分。サンライズ瀬戸は高松駅に07時27分に着く。観光シーズンには琴平駅まで延長運転する。琴平着は08時52分である。上り列車は出雲市駅を18時51分発、高松駅を21時26分発、東京駅に07時08分着だ。
このサンライズ出雲、サンライズ瀬戸の車内販売は飲料販売機。そしてシャワーを利用できるカード。それだけだ。東京〜出雲市は下り約12時間、上りは約13時間。東京〜高松は下り約9時間半、上り約10時間。全区間を乗り通す利用者にとって、のども渇くし腹も減る。飲料販売機は30個もボタンをそろえながら、同じ商品ばかりズラリと並べて選択肢は数種類しかない。非常持ち出し物資みたいだ。
従って、サンライズ出雲、サンライズ瀬戸に乗る場合は、乗車前の飲食物確保が重要である。きっぷを買うときに親切な窓口担当なら助言してくれる。これらの列車を紹介するテレビ番組や雑誌でも「事前に買い物を済ませましょう」が慣用句になっている。JR側も心得ていて、出発駅の売店を遅くまで開けてくれる。
いやいや、心得る方向が間違っていると思う。車内で温かな食べ物、スープ、味噌汁、缶入りよりマシなコーヒー、乗車記念グッズなどを入手したい、という要望に対しては心得てくれない。
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