コンビニビジネスは、本部が家主とオーナーそれぞれと契約し仲介役となるのが一般的だ。というわけで、店を経営しているオーナーと家主との直接的な関わりはない。
ところが、「家主」←→「本部」←→「オーナー」という関係図が理解できない家主もいる。そうなると、ささいなことがトラブルに発展することもある。
筆者がオーナーだったころ、築10年以上の店舗が老朽化してあちこちにメンテナンスが必要になった。修繕を本部に依頼してからしばらくたったある日、家主と名乗る人が店に怒鳴りこんできたのだ。
家主: 店を乱暴に扱うな。本部から修繕の連絡があったけど、認めないからな。
筆者: はあ? 私は本部に依頼しているだけで、家主さんに直してくれとは言っていませんけれど……。
家主: でも、こっちで修繕費用を負担しろって話だろ? そんなの出せるわけがない。
筆者: ですから、それは本部に言ってください。
このように、契約のフローを理解していないメンドくさい家主に当たると、ややこしくなり余計な仕事が増える。フリースタンディング店舗では個人家主も少なくないため、さまざまなトラブルが出てくるのだ。
また、本部は(自分の利益が最大限になるよう)定期的に家主と家賃の交渉を行っている。平たく言うと値下げ交渉だ。コンビニ本部と家主の間にもさまざまなトラブルがある以上、本部はそれを回避するために賃貸借契約書を都合よく変える。すると、家主の“うまみ”も徐々に減ってくる。
誰でも自分の取り分が減るのは好ましくないが、家主が本部とオーナーとの関係を理解していないと、賃料交渉とは全く関係ない店に対して嫌がらせをしてくることもある。
「ウチは本部との契約だから関係ない」とオーナーが思っていても、家主が「あいさつの一言もない非常識な人」などと近所に吹聴したりする。しかし、地元の事情によほど精通している店舗オーナーでなければ、本部からは家主が誰なのかすら教えてもらえないのが現状だ。
中には「家主と店子」という、古い関係を求めてくる家主もいる。家主自身が店舗のオーナーであるがごとく振る舞ったりするので、オーナーにとっては、少々困った存在である。
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