そしてゴーカーや関係者は、ホーガンの背後に大きな後援者がいると見ていた。すると2016年3月に判決が下されてから、米メディアがホーガンに密かに資金援助していた黒幕の存在を暴露した。
その人物は、日本でも2015年ビジネス本大賞を受賞した『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』(NHK出版)の著書で知られるシリコンバレーの大物投資家ピーター・ティールだ。ティールは、ゴーカー側からの1000万ドルの示談提案を受けさせないために、ホーガン側に弁護費用など少なくとも1000万ドル近い支援金を支払っていると報じられている。ホーガンの強気な姿勢の背景にはそうした後ろ盾があったのである。
ティールといえば、オンライン決済サービス「PayPal」の共同創業者であり、FacebookやLinkedInなど大手SNSに初期から投資をしてきたことでも知られるシリコンバレーの大物投資家だ。Facebookについては、サービス開始から今までずっと取締役を務めており、ティール個人の総資産は27億ドルにもなる。
ティールの存在が明らかになったことで、この裁判は「表現の自由」や「プライバシー侵害」といった話を超えた騒動になっている。というのも、ティールがホーガンに多額の資金提供をした理由には、ゴーカーに対する私怨があったからだ。
どういうことかというと、ゴーカーは2007年12月に、ティールについて次のようなタイトルの暴露記事を掲載した。
「みなさん、ピーター・ティールは完全なゲイですよ」
この記事でゲイであることを大々的に報じられたティールは憤慨した。するとティールは弁護士のチームを組んで、ゴーカーを追い詰めて仕返しするために、自分と同じようにゴーカーの被害者となっている人を探した。「報復というよりは、限定的な抑止力だ」と、ティールはホーガンへの支援が暴露された後に米ニューヨークタイムズ紙に語っている。「ゴーカーは一般市民が関心のないことですら、人々をいじめて注目を浴びるために、信じられないような独特で破壊的な手法を始めていた」
そしてこうも主張している。「(ゴーカーは)反撃に価すると思った」
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