イタリアでは、長友のインテルだけでなく、日本代表の本田圭祐選手が所属する強豪ACミランも中国企業が買収するとうわさされている。イタリア元首相でオーナーのシルヴィオ・ベルルスコーニは交渉を認めており、いつ買収の発表があっても不思議ではない状況だ。さらにフランスではニースとは別のチームも中国企業に所有されている。またオランダやチェコでも2015年から中国企業がサッカーチームを買収している。
中国は国内でもサッカーにかなりの投資を行っている。インテルを買収した蘇寧は国内で保有するクラブ「江蘇蘇寧」に、ブラジル代表3選手を獲得。またコロンビア代表の有望な2選手が中国国内のチームに移籍している。こうした選手以外にも、有名選手が多額の移籍金で続々と中国にやって来ている。
また日本代表のアルベルト・ザッケローニ元監督は北京国安に移籍しているし、ブラジル代表の監督として日韓W杯を制覇したフェリペ・スコラーリ元監督も今は中国チームで指揮を執る。前回の冬市場では、中国国内リーグでは、こうした外国からのタレントを獲得するのに2億8000万ドルの移籍金が動いた。これは世界のどのリーグをも上回る金額だ。ただこれはあくまで移籍金だけの金額であり、年棒などは含まれない。
日本サッカーが世界に通用しなかった時代に生まれたJリーグに、多額の年棒で著名な選手が次々と入団したJリーグ黎明期を見ているのかのようである。言うまでもなく、日本サッカーはそのおかげで、今やアジア屈指の強豪国となった。
こうした中国のサッカー熱の裏には、中国政府の国策がある。日本の過去を参考にしたかどうかは分からないが、中国の国務院は2014年に産業部門の規制緩和を行い、ガイドラインで中国企業に外国のスポーツチームへの投資を促した。また2015年3月16日には、2050年までの中国サッカー強化計画を発表した。50のポイントを示したこの計画は、サッカー好きである習近平国家主席の肝いりだと見られている。
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