なぜ楽天は二子玉川に移転したのか?好調企業のオフィス改革(2/2 ページ)

» 2016年07月07日 12時10分 公開
[ITmedia]
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楽天がオフィス移転で目指したもの

 セミナー終盤では、「楽天クリムゾンハウス 構築プロジェクトの全容」と題した特別講演を、楽天で総務部 ファシリティマネジメント課 課長を務める高橋朋之氏が行った。

 楽天は現在、グループ全体で1万3000人を超える社員を抱える。1997年2月に東京都港区にある愛宕神社近くのオフィスビルで創業して以降、事業規模の拡大につれ、祐天寺、中目黒、六本木、品川シーサイドと本社オフィスを移転してきた。そして2015年8月、二子玉川にオフィス名を「楽天クリムゾンハウス」として本社移転した。

楽天で総務部 ファシリティマネジメント課 課長を務める高橋朋之氏 楽天で総務部 ファシリティマネジメント課 課長を務める高橋朋之氏

 なぜ二子玉川に移転したのか。その狙いについて、高橋氏は「仕事とプライベートの両立」を挙げる。楽天クリムゾンハウスで働くのは約9000人で、うち2割が外国籍社員と、ますます働き方の多様性が求められる。そうした中、仕事とプライベートの線引きが難しくなってきたという。「今や9時〜17時30分の間だけ仕事のこと考えるというのは不可能。であれば、社員のプライベートもサポートする環境を用意した方が生産性は高まるのではないか」と高橋氏は新オフィスのコンセプトを説明する。

 それを体現すべく楽天クリムゾンハウスには、スポーツジムや鍼灸といった健康サポート施設に加えて、託児所やクリーニング、ヘアサロンなどの生活サポート機能も用意した。

 また、社内の風通しを良くするように、オフィスのオープン性を高めた。基本的に会議室は物理的にも仕切りをすべて透明にして、社長室や役員室もなくした。オープンスペースにもスクリーンやモニターを設置して、いつでもすぐにミーティングなどができるようにした。

 さらにビデオ会議システムを増強し、すべての会議室にビデオ会議システムを導入したほか、ユニファイドコミュニケーション(UC)ソリューションを活用して、社員各自のPCからビデオ会議に参加できるシステムを強化した。これによって、スピード感あるコミュニケーションが可能になったという。

 この楽天クリムゾンハウスのコンセプトは、徐々に全国の他拠点にも取り入れ始めている。「社員が最も輝ける機会と環境の提供が我々ファシリティマネジメント部門の使命。単に居心地が良いオフィスということだけではなく、仕事に没頭できる場を提供することがビジネス成長においても重要だ」と高橋氏は意気込んだ。

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