多くの人に尊敬されていた、大横綱・千代の富士が残した“遺言”赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2016年08月02日 11時44分 公開
[臼北信行ITmedia]
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メディアがほとんど報じない“謎”

 さて、最後にメディアがほとんど報じない“謎”について触れておきたい。現役当時、北天佑(元大関・故人)との対戦が「因縁対決」と呼ばれていたことだ。

 「北天佑の弟が千代の富士と同じ九重部屋に所属していたが、部屋の面々に“かわいがり”を受け、その因縁があって兄である北天佑が千代の富士と対戦する際にはいわゆる『ガチンコ勝負』を常に仕掛けていたという話がまことしやかに広がっている。その“かわいがり”には横綱(千代の富士)も加わったとささやかれているが、実を言えば弟は兄も手を焼くほどの素行のよくない『ワル』で部屋の面々の我慢も限界に達し“かわいがり”につながったとも聞く。

 後に、その弟が週刊誌上で告発しているが、当時を知る大半の関係者は『正義感からの行為だった』として横綱に同情的。いまでは“かわいがり”など持ってのほかとされているが、その昔は相撲界でも『よくある話』だったわけだからね。いずれにしてもその当事者の2人(千代の富士、北天佑)は今、旅立ってしまったのだから真相は分からないが……。

 ただし、千代の富士対北天佑がそういう因縁対決を連想させるような、昭和末期を代表するバチバチの熱い戦いであったことは間違いないですよ」(日本相撲協会関係者)

 かつて多くの人たちの胸を高ぶらせた昭和最後の偉大なる大横綱・千代の富士貢関。61歳で天に召されてしまうとは余りにも早過ぎるが、心からご冥福をお祈りする。合掌――。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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