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» 2016年08月12日 06時00分 公開

長浜淳之介のトレンドアンテナ:てんやが天丼チェーンとして“唯一”全国展開できた理由 (5/5)

[長浜淳之介,ITmedia]
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ちょい飲み、肉天丼のシリーズなど、メニューを積極的に改良

 メニューの改良も進んでいる。5年ほど前から、220円を足すと、更科二八のそば、または稲庭風のうどんとセットになるサービスを始めた。用松社長によれば「天丼屋のそばは、ラーメン屋の餃子みたいなもの」とのことで、一緒に欲しくなるサイドメニューを充実させている。

 また、3年前から駅前の20店で始めた“ちょい飲み”の試みは現在、全店にまで増えた。天ぷら4品と生ビールのセットで580円(税込み)を前面に出しているが、「モッツァレラチーズの天ぷら」などちょい飲み用メニューの開発も含めて、ディナーの売り上げ増につながっている。

 さらには、和食には季節感があるので、牛丼店など競合と差別化するため、顧客がリピートで来る7週間のサイクルで、季節の天丼を販売している。例えば、春は桜海老、夏は穴子、秋は松茸、冬は牡蠣などといった素材を使い、商品開発を進めている。

 一方で、若い人向けには4、5年前より、肉天丼のシリーズを季節の天丼と並行して販売。天ぷらは本来、魚介類、野菜を揚げる料理であるが、20代の若者は天ぷらを食べる習慣がないまま育った人が多い。そこで天丼入門として、鶏肉を中心に、牛肉や豚肉も素材に取り入れて、「ローストビーフ天丼」「ポークロース生姜だれ天丼」などといった、ユニークな創作天丼を送り出している。平日の夜8〜10時にかけてよく売れる商品で、会社帰りの若手ビジネスパーソンに受けている。

photo 「ローストビーフ天丼」

 てんやのビジネスモデルは、オートフライヤーの開発なしには考えられないが、好調の背景には、牛丼、低価格とんかつ、セルフ式うどんのような顧客が被る競合を跳ね返す、天丼のブラッシュアップがあったわけだ。それに、そば・うどんセット、ちょい飲み、季節の天丼や若者向け肉天丼の開発といった、新しい魅力を加えることで、天丼専門店として他を寄せ付けない独走体制を築いているのだ。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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