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» 2016年09月08日 06時00分 公開

加谷珪一の“いま”が分かるビジネス塾:豊洲新市場の土壌汚染はどのくらい深刻なの? (2/4)

[加谷珪一,ITmedia]

特定の場所に高度汚染が集中

 東京ガスは工場を引き払う際に、所定の手続きに沿って汚染の実態調査と処理を実施しているが、東京都はこれとは別に汚染物質に関する独自の調査を行っている。

 東京都では、新市場の予定地を10メートル四方ごとに区切って4122地点に分割、各地点において土壌と地下水の分析を行った。土壌については工場操業時の地面を基準にした深さ50センチの地点で、地下水については、不透水層との中間地点において採取を行っている。

 調査の結果、土壌もしくは地下水で環境(安全)基準を超えていた地点は全体の36%に相当する1475地点だった。土壌で基準値の1000倍以上の高度な汚染が検出されたのは2地点、地下水で1000倍以上が検出されたのは13地点だ。汚染は広範囲に分布しているわけではなく、特定の場所に高度汚染が集中していることも分かった。

 豊洲新市場は、主に水産仲卸棟、水産卸棟、青果棟の3つの構造物で構成されている。このうち、高度汚染は水産仲卸棟の場所に集中していた。青果棟にも多少の汚染集中エリアがある。

photo 豊洲市場 配置図(青色のエリアが高度汚染が確認された水産仲卸棟)

 では、この場所には工場操業当時、どのような施設があったのだろうか。当時の航空写真を見ると、水産仲卸棟付近の汚染エリアには目立った施設は建っていない。ガス工場の中核となるコークス炉やタンク類などは別の場所にある。東京都が設置した汚染に関する専門家会議では、ヒアリングなどの結果から、当時、その場所には、製造過程で発生したタールなどが仮置きされており、ここから一部の汚染物質が地中にしみ出した可能性が高いと指摘している。

 東京都では、汚染レベルが基準値の10倍を超えていた441地点については、ボーリング調査を行い、1メートル間隔でさらに下の土壌まで汚染を調査している。検体した採取した土壌の数は3134だった。

 3134検体のうち、全体の21.8%に相当する検体で環境基準を超える数値が検出されたが、残りの2451検体(全体の78.2%)の結果は基準値以下だった。

 特に汚染が激しかったエリアをさらに深くを調査した結果であることを考えると、全てが地下深くまで汚染されているわけではないことが分かる。

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