大賞は「Splatoon」に 最も売れたゲームは330万本「モンスターハンタークロス」東京ゲームショウ2016 日本ゲーム大賞

» 2016年09月16日 08時02分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 日本ゲーム大賞2016の結果が9月15日、東京ゲームショウ2016で発表された。年間作品部門では「Splatoon」が圧倒的支持で大賞に輝いた。期間中に最も売れたソフトは「モンスターハンタークロス」で、優秀賞とのダブル受賞に。トップクリエイターがプロの視点から選ぶゲームデザイナーズ大賞は「Life Is Strang」に贈られた。

日本ゲーム大賞の結果発表。10作品が優秀賞に選ばれ、その中から「Splatoon」(任天堂)が大賞に輝いた

イカす大賞「Splatoon」

 任天堂の完全新作シューティングゲームとして圧倒的な支持を得た「Splatoon」(任天堂)。イカをモチーフにしたポップなキャラクターが、“水合戦”のように陣取りをするゲームだ。

 壇上に上がったのは本作プロデューサーの野上恒さん。野上さんは、トロフィーを「Splatoon」の一般ファン伊藤さん母娘から渡されて瞳を潤ませた。

「涙腺に来るものがあります……。こんな小さいお子さんから、お母さんまで楽しんでいただいているのがうれしいと思うとともに、本作は“ガチに楽しんでいる”みなさまからアツい支持もいただいています。ファンがコミュニティーを作って活動することで、本作をけん引してくれています。今後とも、イカよろしくお願いします!」(野上さん)

 ――と、ゲーム中でもおなじみのせりふで感謝する野上さん。「Splatoon」は任天堂の中でも若いスタッフが作り、ムーブメントを盛り上げてきたことで知られている。

 「僕たち開発スタッフは、ゲームやゲーム以外のいろんなものに育てられてきた世代。情熱や愛情をこのゲームに注ぎました。それが、僕たちのようなゲームに育てられた世代や、小さいお子さんにも楽しんでもらえた。開発スタッフも喜んでいると思います」(野上さん)

野上恒プロデューサー。ファンの「サンタクロースさんに届けてもらったもの。親は興味がなかったんですけど、毎日親が遊んでます」という声に喜びの表情を見せていた

今年最も売れたタイトル――ベストセールス賞「モンスターハンタークロス」

 累計3700万本を誇る「モンハン」シリーズ最新作「モンスターハンタークロス」(カプコン)。15年11月28日の発売から16年6月までの累計販売本数は330万本だ。プロデューサーの小嶋慎太郎さんと一瀬泰範さんが登壇。

 トロフィーを渡したファンからの声をご紹介しよう。「本作にハマって会社にあるモンハン部に入部した。土日にカラオケで10数人が集まって、みんな1日に8時間くらい“狩り”をしている。少年だったころの気持ちを思い出しています。とっても大切なゲームになりました」――こんな風に、コミュニティーツールとしても活用された作品だ。

 「本作は『モンハン』のナンバリングタイトルではなく、いろんな新しい試みをしています。そんなタイトルが累計330万本も売れたのは、遊んでくださったハンターのみなさんのおかげです」(小嶋さん)

ゲーム業界にも広げた取り組み――経済産業大臣賞「ドラゴンクエスト30周年プロジェクトチーム」

 業界内外の産業の成長・発展に寄与した人物や団体に贈られる経済産業大臣賞は、今年30周年を迎えたゲーム「ドラゴンクエスト」(スクウェア・エニックス)の30周年プロジェクトチームが受賞した。さまざまなプラットフォームで新作を展開するだけではなく、ユーザー参加型イベントやライブ型コンテンツなど、これまでにない取り組みで“ドラクエビジネス”の領域をゲーム業界以外にも発展させたことを評価された。

 「ドラゴンクエスト」ゲームデザイナーの堀井雄二さんは「最初に『ドラゴンクエスト』を作った時には、これほどながく続くとは思いませんでした。いろんな人が助けてくれた。30周年イベントも、参加スタッフがたくさん企画を出してくれました」と感謝。

 プロデューサーの市村龍太郎さんは「スタッフは『ドラクエ』が大好きでこの業界に入ってきた。『僕らだからこそできるドラクエのお祝いってなんだろう?』と3年前から考え、ものすごいお祭りにしようと思い、たどり着きました」とコメント。

 「ドラゴンクエスト」というビッグタイトルの重さに、「毎日押しつぶされそうだった」と振り返る市村プロデューサー。

 「でもファンだった人たちが、今『戦おう』と思ってスタッフとして集まっている。好きだからこそ乗り越えられることがたくさんあった。ファンの皆さんも堀井さんもあたたかく見守ってくれ、応援してくれたから続けてこれました」(市村さん)

「ドラゴンクエスト30周年プロジェクトチーム」から登壇した堀井さん(左)と市村さん(右)

ゲームデザイナーズ大賞「Life Is Strange」

 日本を代表するクリエイターが、プロの視点から決定するゲームデザイナーズ大賞は、「Life Is Strang」(DONTNOD Entertainment)に決定した。

 時間を巻き戻せる能力を持った女学生が主人公。その能力で、起こってしまった悲劇を回避するもよし、そのまま進めてもよし。プレイヤーの選択によってゲーム展開が変わっていく。フランスのゲームスタジオで制作され、海外・日本ともに高く評価されている作品だ。

 「星のカービィ」の生みの親である桜井政博さんは「最後の選択肢は、『(ドラクエの)ビアンカとフローラ、どっちと結婚した?』くらいの重い問いかけ」と紹介。

 登壇したDONTNOD EntertainmentのCEOオスカー・ギルバードさんは、「スタッフの多くが、日本のゲームやデザイナーの影響を受けている。今もなお、日本の作品のクリエイティブな部分には驚かされています。受賞はこれ以上ないくらい光栄です」とコメントした

 受賞作品の一覧は以下。

大賞:
  • 「Splatoon」(任天堂)
優秀賞:
  • 「ウィッチャー 3 ワイルドハント」(スパイク・チュンソフト)
  • 「スーパーマリオメーカー」(任天堂)
  • 「Splatoon」(任天堂)
  • 「DARK SOULS 3」(フロム・ソフトウェア)
  • 「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」(スクウェア・エニックス)
  • 「Fallout 4」(ベセスダ・ソフトワークス)
  • 「Minecraft」(日本マイクロソフト)
  • 「METAL GEAR SOLID 5 THE PHANTOM PAIN」(コナミデジタルエンタテインメント)
  • 「モンスターハンタークロス」(カプコン)
  • 「妖怪ウォッチバスターズ 赤猫団/白犬隊」(レベルファイブ)
ベストセールス賞:
  • 「モンスターハンタークロス」(カプコン)
グローバル賞日本作品部門:
  • 「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/WiiU」(任天堂)※2年連続受賞
グローバル賞日本作品部門:
  • 「コールオブ デューティ ブラックオプス3」(Activision/Treyarch)※シリーズ2年連続受賞
経済産業大臣賞:
  • 「ドラゴンクエスト30周年プロジェクトチーム」(スクウェア・エニックス)
ゲームデザイナーズ大賞2016:
  • 「Life Is Strang」(DONTNOD Entertainment)

 日本ゲーム大賞はコンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催するゲームの賞。アマチュア部門は9月17日、フューチャー部門は18日に結果発表される。

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